最近では、ADHDがテレビなどのメディアに取り上げられることが多くなりました。
心療内科の予約は3か月待ち、関連書籍が多く出版され、空前の発達障害バブルが巻き起こっています。
ADHDは生きづらさとともに、「普通の人にはない才能がある」という取り上げられ方をします。
芸能人やアーティスト・スポーツ選手にはADHDが多いとされています。
「才能を活かす場所さえあれば、とてつもない力を発揮する」という部分がフィーチャーされるんですね。
ADHDを持つ一般人の密着取材でも、「苦労はあるけど他の人にはない特技で輝いています!」という流れが大半です。
ですが、ADHDは才能の持ち主であると言われて、違和感を感じないでしょうか。
- ADHDなのに才能や特技がない
- ADHDで損することばかり
- 才能がない自分はADHDじゃなくてただの無能なのか
そう、メディアに取り上げてもらえるようなADHDは、才能を持ったごく一部。
苦労はあれど最後には救われる、そんなストーリーを歩めるのは特例中の特例です。
大多数のADHDは、才能がなく社会にも適応できない凡人以下の無能。
「ADHDには才能がある」という幻想に惑わされず、地(の底)に足が着いた生き方をしていかなければなりません。
この記事では、「才能がないADHDの特徴」について解説。
この記事を読むことで、ADHDの現実的な仕事探しについて理解できます。
筆者の発達障害プロフィール
- 手帳3級のADHD
- 体感ではASDの傾向が強い
- 社会人で発達障害が発覚
- 定型(健常者)にギリ擬態できる
- 一人暮らしは可能
それでは、さっそく見ていきましょう!
目次
ADHDは才能があるという神話


発達障害の才能について、次の3項目で解説します。
- 才能の正体は「過集中・多動・アイデア」
- 症状の強さには個人差がある
- ほとんどの発達障害は”中途半端
才能の有無に振り回されるのは、ADHDも定型(健常者)も同じです。
スポーツ・芸術・ビジネスなど、特定の分野と才能がはまったときに初めて価値が生まれます。
ADHDで才能を持ち、かつ環境に適応できるのは奇跡なんです。
①才能の正体は「過集中・多動・アイデア」
ADHDの障害特性がプラスに働くのは、「過集中・多動・アイデア」の3つです。
過集中によって、勝負所で驚異的な集中力を発揮する。
多動によって、リスクを恐れることなく行動できる。
常識から離れた価値観が思考を駆け巡るため、アイデアや独創性に優れている。
これらはビジネス分野でも活かすことができます。
経営者や営業マンなど、行動力をフル稼働させて数字を追い求めるタイプにはピッタリです。
ADHDはビジネス分野でも成果を挙げられる
②症状の強さには個人差がある
しかし同じADHDでも、症状の強さや特徴には個人差があります。
たとえば、軽度ADHDの僕はこんな感じです。
- 集中は切れやすく、過集中を経験したことがない
- 行動力はなく、恐怖心やめんどくささが勝る
- 発想力は乏しく、いいアイデアが浮かばない
- 会話や行動が暴走することはない
- 注意欠陥だけはある
軽度とはいえADHDと診断されているのに、強みがまったくありません。
それだけ定型に近い感覚を持っていると言えますが、世間的には「無能な凡人」です。
症状が軽くて定型に擬態しやすいぶん、これといった強みがない。
発達障害グレーゾーンに近い人は、いいことが何ひとつないのです。
関連記事:【大人の発達障害】グレーゾーンの特徴と対策【ADHD当事者が解説】
ADHDの”軽度”は、救いではない
③ほとんどの発達障害は”中途半端”
発達障害にはADHD・ASD・LDがありますが、単発ではなく複合的に発症している人の方が多数派。
僕もADHDとだけ診断されていますが、症状としてはむしろASD要素の方が強いです。
- 注意欠陥(ADHD)
- 飽きっぽい(ADHD)
- 急な変化に対応できない(ASD)
- 同じ作業の繰り返しが好き(ASD)
- 明確なルールが欲しい(ASD)
- 会話が苦手(ASD)
このような複合型だと、それぞれの障害特性のいい部分を打ち消し合っている場合があります。
先ほども述べたように、僕にはADHDらしい尖った性質がないんです。
計画的なため過集中や多動はなく、決められたルールに従うのでアイデアも生まれません。
中途半端なADHDは定型に近いぶん、救いようがあるようでない存在なのです。
ADHDとASDの悪いとこどりは損
才能がないADHDの特徴


才能がないADHDの特徴は、次の3つです。
- 何をしてもダメ
- 自己肯定感が低い
- 行動をしなくなる
ADHDでも成功している人は、何かしらの特化スキルがあることが大前提です。
転職サイトを見ても、「得意を活かそう!」「自分に合った仕事を選ぼう!」と書いてありますよね。
言い換えれば、「得意も適職もないADHDは野垂れ死ね」ということです。暴論ですが。
①何をしてもダメ
才能のないADHDは何をしてもダメです。本当にダメです。
僕が職場で受けてきた評価を紹介します。
- 指示しても間違えるか忘れるかのどちらか
- やれと言われたことすら満足にできない
- 全然信用できない
- 一緒に仕事したくない
- 余計な手間を増やしてるだけ
- 一体何ならできるのかわからない
ADHDでも成果を出している営業マンは、営業成績を挙げている代わりに、雑な事務作業や時間管理でも許されています。
ですがただミスをするだけの凡人ADHDは、会社の負債です。
武器がないADHDは、ただミスが多い人
②自己肯定感が低い
才能がないADHDは、自己肯定感が低いです。
定型でさえ「才能がない」「何者にもなれない」と悩むんです。
人並みの事すらできないADHDなら、精神へのダメージは計り知れません。
毎日毎日、他人からも自分からも否定され続けてきたら、自己肯定感など消え去ります。
僕自身、会社員時代は死ぬことしか考えられませんでした。
今でも生きる意味が分かりません。
才能がないADHDの人生は、定型の下位互換でしかないからです。
ADHDは、他人と自分に殺される
③行動をしなくなる
これはADHDに限った話ではありませんが、失敗を重ねるほど行動できなくなります。
「どうせ無理、何をしても怒られる、許してほしい…」
これが積み重なることで、何も行動できなくなります。
- 苦手を克服するため努力する
- 環境を変える勇気を出す
- 頼れる人に助けを求める
- 新しいことを始めてみる
現状を変えるためには行動するしかないのに、その気力を削がれてしまう。
いつまでも「無能なADHD」として生きていくという、泥沼にハマってしまうことになります。
ADHDとして沈むだけの生き方になる
才能がないADHDの転職

才能がないADHDは、転職もシビアになります。
- 悪いところをピックアップ
- できるだけ相性の悪くない職場を探す
- 生活は妥協する
転職をする前提で話を進めていますが、ADHDに転職はつきものです。
普通の転職なら、自分の強みを生かすことを考えるでしょう。
しかしADHDの場合は、「いかに迷惑をかけないか、自分の負担にならないか」を考えるべきです。
①悪いところをピックアップ
ADHDにはできないことが多すぎます。
それに、環境や相手によって症状の出方に振れ幅があるので、単純ではありません。
今働いている職場でも、できないことは無限にあると思います。
その中でも、深く自己分析していきましょう。
- 何ができないか
- なぜできないか
- できない時の状況
- 苦手な人
- 嫌な職場環境
今の職場でボロボロになっている経験は、とても貴重です。
ADHDがどれだけ無能か、体感ベースでわかっています。
鬱になって引きこもっていも仕方ないのに、毎日経験を積み重ねている。
自分なりのノウハウを、とことん分析しましょう。
ダメなようでも、実は前に進んでいる
②できるだけ相性の悪くない職場を探す
才能のないADHDは、特技や適性など考えてはいけません。
自分の悪いところができるだけ出ないよう、ネガティブ思考で転職しましょう。
ADHDをはじめとした発達障害は、能力に凸凹があります。
ただし、その凸が凡人レベルである以上、得意なことを基準に考えるのは得策ではありません。
やりたい事ではなく、やりたくない事で仕事を考える
③生活は妥協する
才能のないADHDでもできる仕事は限られています。
一般雇用の正社員なんて夢のまた夢、障害者雇用やバイトなどの非正規雇用が関の山です。
そうなると、どうしても生活水準を下げざるを得ません。
むしろ、浪費や出費を減らすことで、職業の選択肢を増やしましょう。
仕事に生活、妥協は覚悟しなければならない
才能がないADHDの特徴 まとめ

この記事では、「才能のないADHDの特徴」について解説してきました。
もう一度、ポイントをおさらいします。
- 才能のあるADHDは一握り
- ダメなADHDはただ不利
- 自分に合わせた生き方をする
メディアの扱うADHDは、才能や適性のあるごく一部の人間を前提としています。
そうした幻想に振り回されないよう、地に足が着いた生き方を探っていきましょう。