発達障害の症状で困っているのに、診断基準を満たしていない。
このような人は、俗に「発達障害グレーゾーン」と呼ばれています。
発達障害グレーゾーンには、正式に診断された”発達障害者”とは違った悩みがあるんです。
あなたはこんな悩みを抱えていませんか?
- ”グレーゾーン”と”発達障害者”は何が違うの?
- グレーゾーンと診断されたくない
- グレーゾーンと診断されたらどうすればいいの?
そんな悩みを解決します!
僕は精神障害者手帳3級をもらえましたが、主治医からは「ギリギリのラインですね」と言われました。
そんな”グレーゾーン”と”発達障害者”の境界線である僕が、「発達障害グレーゾーンの特徴と対策」について解説していきます。
読み終われば、発達障害グレーゾーンという絶望への対処方法がわかるようになりますよ!
筆者の発達障害プロフィール
- 手帳3級のADHD
- 体感ではASDの傾向が強い
- 社会人で発達障害が発覚
- 定型(健常者)にギリ擬態できる
- 一人暮らしは可能

目次
発達障害グレーゾーンの特徴


発達障害グレーゾーンの特徴は、大きく3つです。
- 発達障害の診断基準を満たしていない
- 「グレーゾーン=軽度」ではない
- 支援とサポートを受けられない
発達障害グレーゾーンならではのつらさについて、解説していきます。
①発達障害の診断基準を満たしていない
発達障害グレーゾーンの特徴、1つ目は「発達障害の診断基準を満たしていない」です。
発達障害グレーゾーンは、「精神障害者手帳3級の基準をギリギリ満たしていない人」と言い換えることができます。
精神障害者手帳3級の診断基準

出典:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について/厚生労働省
簡単にまとめます。
- 仕事・日常生活・社会的手続きへの影響がある
- 制限を受けるor援助が必要なレベル
- 仕事の遂行に支障をきたす
- 生活や人間関係が不安定
発達障害の傾向があっても、「体調や環境でムラがある」「いくつかの項目だけ当てはまる」場合、”診断基準を満たしていない”とされてしまうのです。
症状の「強さ・頻度・範囲」が診断の基準
②「グレーゾーン=軽度」ではない
発達障害グレーゾーンの特徴、2つ目は「『グレーゾーン=軽度』ではない」です。
グレーゾーンは症状が軽いのではなく、基準を満たす項目が少ないだけ。
そのため、本人や周囲の人は次のような勘違いをしがちです。
- 発達障害を言い訳に使っている
- 自己管理・努力が足りないだけ
- みんな同じなのに甘えている
僕も発達障害の診断前は、このように自分を責めていました。
でも同期と比べて仕事は明らかにできません。営業なのにコミュニケーションが苦痛です。
こんな状況でも弱音を吐けないので、毎日「死にたい」と思っていました。
責任感が強い人ほど、自分を責める
③支援とサポートを受けられない
発達障害グレーゾーンの特徴、3つ目は「支援とサポートを受けられない」です。
精神障害者手帳があれば、次のような支援を受けられます。
- 税金・手当の優遇
- 交通・施設等の割引
- 障害者雇用への応募
(詳しくは、【大人の発達障害】精神障害者手帳のメリットに書いています)
しかし手帳が交付されないグレーゾーンは、上のような支援を受けることができません。
たとえ発達障害の症状によって、仕事が続けられず生活に困っていても、セーフティーネットが用意されていないのです。
社会的な逃げ道がなく、見捨てられた気持ちになる
発達障害グレーゾーンと診断される原因


発達障害グレーゾーンと診断される原因は、この3つです。
- 主治医に症状を伝えきれていない
- 投薬治療・精密検査の結果
- 診察の期間が短い
当然ですが、そもそもの基準を満たしていなければ、診断はもらえません。
しかし、自分の不注意で正しい診断を受けることができず、結果的に損するのは避けたいですよね。
ここからは、診断を受けるときのポイントについて解説します。
①主治医に症状を伝えきれていない
発達障害グレーゾーンと診断される原因の1つ目は、「主治医に症状を伝えきれていない」です。
主治医は主に患者との会話によって、診断基準を満たしているかを判断します。
言い換えれば、情報ソースのほとんどは「患者からの伝達」なんです。
しかし発達障害の特性として、「コミュニケーションが苦手」「言語化が難しい」などがあり、伝え忘れや漏れが生まれてしまいます。
その結果、本来の症状よりも軽く見積もられてしまう可能性も。
あらかじめ困り事を整理しておき、紙に書いて提出するのが有効です。
鬱の状態があれば、それも忘れず伝えよう!
②投薬治療・精密検査の結果
発達障害グレーゾーンと診断される原因の2つ目は、「投薬治療・精密検査の結果」です。
診断では問診以外にも、投薬治療や精密検査があります。
僕の場合は、下記の内容もチェックされました。
- 薬(コンサータ)を飲んで影響があるか
- 知能テストや作業テストでの能力検査
(詳細は【大人の発達障害】診断を受ける流れ 時間や手間はかかる?に書いています)
その両方でADHDの傾向が見られたため、障害者認定の根拠に。
グレーゾーンの場合、「検査の日はたまたま調子がよかった」というケースもあり、それを基準とされてしまう可能性があります。
調子の波が検査結果に影響することも
③診察の期間が短い
発達障害グレーゾーンと診断される原因の3つ目は、「診察の期間が短い」です。
発達障害の正式な診断書を書くには、「初診から6か月間経過していること」というルールがあります。
時間をかけて丁寧に判断する必要があるからですね。
それなのに、初診から1,2か月くらいで「グレーゾーンって言われたからもう病院行かない!」と判断するのはよくないです。
通院をかさねることで、下記のメリットがあります。
- 現状をより正確に丁寧に伝えられる
- 長期間スパンでPDCAサイクルを回せる
- 味方がいる安心感が生まれる
短期間では伝わるものも伝わらなくなってしまうので、見切りをつけるタイミングは慎重に。
受診して即解決する問題ではありません
発達障害グレーゾーンと判断されたらやるべきこと


発達障害グレーゾーンと判断されたらやるべきことは、この2つです。
- 別の病院で診断を受ける
- グレーゾーン対応の機関に相談
完全に諦めるのは、まだ早いです。
①別の病院で診断を受ける
発達障害グレーゾーンと判断されたらやるべきことの1つ目は、「別の病院で診断を受ける」です。
主治医も人間なので個人差はありますし、自分との相性もあります。
中には診断書を書くのに消極的な主治医もいるので、少なからず運要素もあるのが現状。
「病院を2~3件回って診断書をもらえた」という人もいるので、行動してみる価値はあります。
最初の病院ですべてが決まるわけではない
②グレーゾーン対応の機関に相談
発達障害グレーゾーンと判断されたらやるべきことの2つ目は、「グレーゾーン対応の機関に相談」です。
グレーゾーンでも相談できる機関を、一部ですが紹介します。
- 発達障害支援センター
- LITALICOワークス
- ブレインクリニック
発達障害支援センター
子供から大人まで、発達障害の総合的支援を行う施設です。
全国の都道府県に設置されていて、法人が運営しています。
グレーゾーンでも仕事や生活の相談が可能です。
LITALICOワークス
障害のある人へ就労移行支援を提供しています。
障害者手帳がなくても利用でき、プロの手厚いサポートが魅力。
ブレインクリニック
最新機器を使った脳波検査で、精密な分析ができます。
僕の通っていたクリニックでは脳波検査ができなかったので、ちょっと興味あります。
ただ東京と大阪の2か所しかないのがネックですね…。
ちなみに先生が本を出しています。
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グレーゾーンでも使えるサービスはある
発達障害グレーゾーンの仕事術


発達障害グレーゾーンの仕事術は、次の3つです。
- 症状の法則を分析
- システムで対策
- 失敗をデータにする
毎日が地獄で転職したくても、簡単にはできないですよね。
そこで、「症状にムラがある」というグレーゾーンの特徴を活かした仕事術を紹介します。
これは僕が実際にやってきたことで、体感でミスが50%減りました(現実はこんなもんです…)。
①症状の法則を分析
発達障害グレーゾーンの仕事術、1つ目は「症状の法則を分析」です。
症状にムラがあるなら、調子がいいときと悪いときがあるはずです。
それを分析することで、対策の方針を決められますよね。
たとえば僕の場合。「物忘れがひどい」という悩みについて自己分析してみます。
- 口頭で指示された
- やることがたくさん
- メモが消える
- 後回しにする
- 何かに気を取られている
- 内容を理解していない
- 目で何回も確認している
- すぐに取りかかる
- 仕事量が少ない
- 内容を理解している
- メモや通知で気付く
これらを分析した結果は、下記のとおり。
物忘れを減らす法則
- 文章で確認できる
- 思い出すきっかけがある
- 忘れる前に動ける
- 内容を理解し記憶に定着
- 時間と仕事量に余裕がある
この分析結果をもとに、対策を考えていきます。
「できない」を掘り下げて考えてみよう!
②システムで対策
発達障害グレーゾーンの仕事術、2つ目は「システムで対策」です。
発達障害の症状がある人は、絶対に自分を信用してはいけません。
僕がそうだったんですが、「次は気をつけよう」「もっとがんばろう」と思っても、けっきょく空回りするだけなんですね。
だから気持ちではなくシステム(仕組み)で解決するしかないんです。
例として、先ほどの分析結果をシステムに落とし込んでみました。
物忘れを減らすシステム
- 聞いたことは一瞬で忘れるから絶対にメモ
- 指示はその場で復唱し、理解度を上げて記憶に定着
- メモは「フセン・スマホ・社内スケジュール」等に複数残す
- 記憶が鮮明なうちに、さわりだけでもいいから手を付ける
- 関係ない雑用はできるだけ断る
自分の能力を一切信用しないことで、「具体的にするべき行動」が浮かび上がります。
正直、めちゃくちゃめんどくさいです。
でもこのシステムに思考停止で従えば、自然とミスをしにくい行動をとることができます。
ブレない仕組みがあれば、調子に左右されにくい!
③失敗をデータにする
発達障害グレーゾーンの仕事術、3つ目は「失敗をデータにする」です。
発達障害の症状があると、人の何倍も失敗します。
失敗を繰り返して怒られていると、自己肯定感はどんどん下がっていきますよね。
そしてこう思います。「どうせ失敗するんだから、もう頑張りたくない」と。
その気持ちは痛いほどよくわかります。
でも全力で頑張ったのに改善しなかったら、「あ、これは本当にムリなんだな」というデータが取れるんです。
そのデータが積みあがっていけば、「今後絶対に避けるべき仕事」がおのずと見えてきます。
今の仕事を続けるにしても、いつか転職するにしても、積み上げたデータは絶対に役立ちます。
つらい経験をした分、地雷回避スキルが上がる!
発達障害クレーゾーンの特徴と対策 まとめ

この記事では、「発達障害グレーゾーンの特徴と対策」について解説してきました。
最後にもう一度、ポイントをおさらいしましょう。
- 「グレーゾーン=軽度」ではない
- 診断では伝え漏れがないように
- グレーゾーンでも相談はできる
- システムを作って仕事をする
発達障害グレーゾーンだろうが、発達障害者だろうが、本気で困っているのは同じです。
「自分じゃなくて発達障害が悪い」
このスタンスで生きていくことを、僕はおすすめします。