会社で働く発達障害者の多くは、APD(聴覚情報処理障害)で悩んでいます。
APDとは、「聴力に問題がないのに話し声が聞き取れない」というやつです。
ただでさえ無能なのに、耳すら悪いという地獄。人生お疲れ様でしたって感じですね。
もちろん僕もAPDですよ。
これが原因で、上司には散々罵倒されてきました。
あなたはこんな悩みを抱えていませんか?
- APDで仕事に支障が出ている
- どんなに対策しても解決しない
- 同僚に迷惑をかけるのに耐えられない
そんな悩みを解決します!
この記事では、「APDが仕事で困る事と対策」について解説。
最後まで読み終われば、ADPによる地獄を緩和することができ、適職までわかるようになりますよ!
筆者の発達障害プロフィール
- 手帳3級のADHD
- ASD・APD・HSP傾向あり
- 社会人で発達障害が発覚
- 定型(健常者)にギリ擬態できる
- 一人暮らしは可能レベル
APDを完全に克服することは困難です。
仕事であれ日常生活であれ、この悩みは死ぬまで付きまとうでしょう。
今から解説するのは、そんなAPDの苦しみを少しだけ改善させるライフハックです。
それでは、一つずつ見ていきましょう!
目次
APDが仕事で困る事


APDが仕事で困る事は、次の5つです。
- 指示・電話が聞き取れない
- 聞き直しても意味がない
- 間違って認識する
- 指示や長い話が理解できない
- 会話がトラウマになる
どんなに対策しても克服できないのがAPD。
その症状は同僚から理解されず、イラつかれたり煙たがられたりします。
それが積み重なると、会話がストレスやプレッシャーとなり、鬱へのカウントダウンが始まるわけですね。
指示・電話が聞き取れない
どんなに集中していても、指示や電話の声が聞き取れません。
よりによって主要な部分や単語だけ、もやがかかったように聞き取れなくなるんです。
特に周囲の雑音が大きかったり、電話の声がこもっていたりするとアウト。
あとは、話が長かったり、緊張している時も聞き取り精度が悪くなりますね。
発達障害だとワーキングメモリが小さいので、「聞き取り+理解」というマルチタスクに脳の処理が追い付かない、といったところでしょうか。
関連記事:【大人の発達障害】マルチタスクができない原因と対策
どんなに聞き取ろうと努力しても無駄。
聞き直しても意味がない
聞き取れなかったら聞き直せばいい。
これは定型(健常者)の理屈ですね。
一度聞き取れなかったら、もう1回聞き直しても聞き取れないんです。
なんなら、2回聞き直してもダメで、「あっ…(察し)」と絶望した経験は数知れず。
こうなったら、聞こえたフリをするしかないんです。
無理な時はもう永久に聞き取れない
間違って認識する
聞き取れないと自覚できるならまだいいですが、問題は「間違っていることすら認識できていない」ときです。
あいまいに聞こえた文字が違う単語に結びつき、それが正しいと誤認してしまうんですね。
あとで振り返ったら「どうしたら聞き間違うんだ?」レベルでも、そのときは正しいと思ってしまいます。
特に発達障害だと、「空気が読めない・何も考えずに言われた事をやる」という性質があります。
あり得ない聞き間違いをしても、それがあり得ないことに気付けない。
このコンボは地獄です。
わかったつもりで、大きなミスをすることも。
同僚から理解されない
発達障害よろしく、APDも同僚から理解されません。
僕は上司に、自分が発達障害であること、聞き取れないのはAPDであることをカミングアウトしていました。
それに納得し、「聞き取れなかったらミスる前に聞き返せ」と上司は言いました。
ある時、「すみません、聞き取れなかったんで、もう一度お願いします」と言ったら、「なんで聞こえねぇんだよ!」と怒られたんです。
APDの説明をして、努力ではどうにもならない事を伝えて、ミスる前に聞き返すことも実践したのに、それでも怒られました。
APDは配慮なんて求めても無駄なんです。
APDの感覚は、他人には理解されない
会話がトラウマになる
APDでは定番の地獄のサイクルがあります。
聞き返す→イラつかれる→聞き返すのが怖くて確認しなくなる→ミスる→怒られる→ますます聞き返しづらくなる
聞き返してもダメ、自分で判断してもダメ、とにかく逃げ道がない。
僕の前職は古い体質の中小広告代理店でしたが、業務連絡はメールやチャットではなく、ほとんど口頭なんですね。
面と向かってコミュニケーションを取るのがいいとされている。
苦痛な会話を強要されて、その分ミスやつらい思いを繰り返して、段々と会話がトラウマになっていきます。
会話によるトラブルが毎日何十回と繰り返される地獄
ADPの仕事術

APDの仕事術は、次の4つです。
- 心を殺して聞き返す
- 最後に復唱する
- 電話はできるだけ逃げる
- 聞こえないキャラをアピール
「これをすれば解決!」という夢のような仕事術ではありません。
むしろ、「解決は諦めて地獄をどう歩くか」という救いのない内容になっています。
APDを配慮してもらって穏やかに働くなんて、ていのいい絵空事だと理解しましょう。
心を殺して聞き返す
会社員にとって最も避けるべき事態は、「信用を失うこと」です。
「あの人すぐミスから困るわ」「ヤバイ聞き間違いするよな…」
クライアントであれ同僚であれ、こう思われたら終わりです。
だからAPDは、聞き取れなかったら何回でも聞き直すしかないんです。
間違っても、「イラつかれるから聞こえたフリをしよう」だなんて思わないでください。
今の仕事を続けるなら、嫌われながら働くしかないんです。
ミスだけは防ぐ、それ以外のものは捨てる覚悟を持とう。
最後に復唱する
聞き取れたと思っても、間違って認識している可能性は大です。
指示でも電話でも、最後に必ず復唱して確認しましょう。
APDは特に、耳からの情報に弱いです(視覚優位といいます)。
復唱することでミスを防ぎ、相手にも安心してもらうことができます。
ある意味「聞き返し」ですが、これは相手に喜ばれる聞き返しですね。
自分の聴覚情報は絶対に信用してはならない。
電話はできるだけ逃げる
APDの天敵、それは電話対応ですね。
これは分が悪すぎるので、できるだけ逃げてください。
でもわかります。僕も若手の営業でしたが、率先して電話を取らないといけない空気、ありますよね。
- 電話が多い時間帯に休憩をとる
- 会議室を無駄に予約し、そこで作業する
- 2コールまでは取らないで粘る
これは僕が実践していた電話回避術です。そこそこ効果あります。
それでも取らないといけない場合は、覚悟して聞き返しまくりましょう。
どうしようもないときは、「何かの手違いで切れたフリをする→トイレに逃げる」という最終奥義をよく使っていました。
いかに電話から逃げるか、を常に考えて実践しよう。
聞こえないキャラをアピール
相手から「コイツと会話するとめんどくさい」と思われたら、それは勝利を意味します。
- 話しかけられなくなる
- 聞き返される前提でいてくれる
- 難しい仕事を頼まれなくなる
- 紙かメールで指示してくれるようになる
意地でも聞き返すのを繰り返すと、それはキャラとして定着します。
加えて「本当にすみません、どうしても耳が悪くて…」と謝り続ければ、いいアピールにもなりますね。
自己肯定感と引き換えに、快適な人間関係を構築していきましょう。
”期待されない”は追い風になる
APDに向いている仕事の特徴


APDに向いている仕事の特徴は、次の3つです。
- 完全在宅勤務
- 定型文の会話だけ
- 軽作業
要は「話さない・頭使わない・単純作業」ということです。
僕が今までやってきて苦じゃなかった仕事は、「在宅Webライター・スーパーのレジ打ち・Amazon倉庫の仕分け」の3つだけ。
この経験から、APDの黄金パターンに気付きました。
完全在宅勤務
僕はフリーランスで、完全在宅勤務のWebライターをしています。
- 会話しなくていい
- 連絡は全てチャット
- 指示は文面だから聞き返さなくていい
営業職でAPDの地獄を味わった身からすれば、これは天国としか言いようがありません。
新型コロナウイルスの影響もあり、在宅勤務を推奨する会社も増え続けていくでしょう。
いきなりフリーランスになるのはリスクがあるので、まずは完全在宅勤務の求人を探してみてはいかがでしょうか。
関連記事:発達障害はフリーランスに向いてる?【ならざるを得ない】
”会社で働く”という前提から見直そう
定型文の会話だけ
会話が発生する仕事でも、定型文の会話しか生まれない職場なら、あまり問題ありません。
接客マニュアルが決まっている店員なんかは、案外穴場だと思います。
しかしマルチタスクになると途端にポンコツになるので、忙しくない職場がいいですね。
バイトだけでは生活が苦しいですが、在宅でできる副業と組み合わせればOKです。
精神を消耗し続ける会社に依存するよりも、働き方としては優れていると思いますよ。
機械人間でもできそうな仕事は穴場。
軽作業
工場や内職などの軽作業は、APD&発達障害(ASD)にかなり向いています。
会話しなくても仕事は成立しますし、同じ作業の繰り返しが苦にならないのは、ある意味才能です。
ただ、僕にも経験がありますが、軽作業は達成感がないのが問題です。
「これから何年間もこの作業をして生きていくのか…」みたいな。
繰り返しになりますが、本業プラスαでの副業をおすすめします。
本業がストレスなく続けれられ、安定した収入が入ってくるからこそ、副業にも打ち込めるというものです。
軽作業はおすすめだが、達成感がなくて続かないかも。
APDが仕事で困る事と対策 まとめ

この記事では、「APDが仕事で困る事と対策」について解説してきました。
最後に、もう一度ポイントをおさらいしましょう。
- APDに解決策はない
- ミスを防ぐことだけ考えよう
- 嫌われるのは仕方がない
- 会話しない仕事を選ぼう
救いのない内容になってしまいましたが、それは仕方ありません。
APDはそういうものだと受け入れてください。
余談ですが、APDの人の多くは発達障害も抱えています。
心当たりのある人は診断を受けてみてください。
もし発達障害と診断されれて障害者手帳をもらえたら、障害者雇用の選択肢が生まれます。
APDの特性に配慮した職場を紹介してもらえるかもしれませんよ。
↓障害者雇用の転職ついてはこちら。