社会人になってから発達障害が発覚すると、多くの人は退職を余儀なくされます。
僕は静岡の田舎から出てきて、大阪市の会社で働いていましたが、その後退職することに。
そうした場合、進路の選択肢が3つ生まれます。
- そのまま都会暮らしを継続し、落ち着いたら就活
- 一旦実家に帰り、再び都会で就活
- 実家に帰り、地元で就活
僕は①を選びました。
発達障害と向き合う人生を考えたとき、田舎では生きていけないと考えたからです。
あなたはこんな悩みを抱えていませんか?
- 退職した後の暮らしに迷っている
- 都会と田舎を選ぶ基準を知りたい
- 経験者の体験談を聞きたい
この記事では、「発達障害は都会と田舎のどちらを選ぶべきか」について解説。
もちろん、人によって障害特性や家庭環境が異なるので、すべての人に当てはまるわけではありません。
ですが筆者自身の体験から”生の声”を書いているので、ぜひ参考にしてください!
筆者の発達障害プロフィール
- 手帳3級のADHD
- 体感ではASDの傾向が強い
- 社会人で発達障害が発覚
- 定型(健常者)にギリ擬態できる
- 一人暮らしは可能
それでは、さっそく見ていきましょう!
目次
発達障害が都会に住むメリット


まずは、「発達障害が都会に住むメリット」についてです。
- 求人数が多い
- 心療内科の数が多い
- 他人が気にならない
- ライフスタイルの選択肢が多い
ひとつずつ解説していきます。
①求人数が多い
発達障害にとって、求人数が多いのはとても重要です。
理由は下記のとおり。
- 障害特性に合った仕事を見つけやすい
- 人間関係トラブルがあっても逃げやすい
- 飽きっぽくても仕事を変えやすい
- 障害者雇用の求人も多い
- 「次がある」という安心感
発達障害は仕事のミスマッチが起きやすく、適職はほとんどないのが実情です。
転職回数が多くなる前提で考えるなら、求人数の多い都会の方が合っています。
経験のハードルが低ければ、挑戦もしやすくなる。
②心療内科の数が多い
発達障害と向き合うなら、心療内科の数が多いのも大切。
まだ発達障害の正式診断を受けていない場合、心療内科を手軽に切り替えられる環境が必要なんです。
なぜなら、診断内容は主治医に左右されやすいため、ハズレを引いて不当な診断を受ける場合があるから。
それに、今後通院することを考えたら、アクセスが楽な地域の方がいいですよね。
発達障害は先延ばし傾向があるので、通院のハードルは低いに越したことはありません。
関連記事:【大人の発達障害】診断を受ける流れ 時間や手間はかかる?
心療内科の数とアクセス性は、都会に軍配。
③世間体が気にならない
田舎にはプライバシーがありません。
したがって、田舎で生きるということは、世間体を気にしながら生きるのと同じことです。
「○○さんとこの息子はちゃんと働いてない」「どうやら発達障害らしい」なんてうわさが広がれば、ずいぶんと生きづらいですよね。
それに、両親や友人から仕事の理解を得られない場合も。
たとえば、僕はいまフリーランスでWebライターをしながらブログを更新しています。
これを古い価値観で見たら、「ネット商法に影響されたあやしいヤツ」ですよね。
自分にはこの働き方や挑戦が合っているのに、それを身内に理解されないのはつらいです。
無理解な親から「ちゃんとした会社で働け」と言われ続けていたら、やる気も下がってしまいます。
都会なら周りがみんな他人で、同じ価値観の人とだけ付き合うこともできます。
こうした心理的な自由は、発達障害の生きづらさをやわらげてくれます。
プライバシーや同調圧力の悩みがなく、自由に生きられる。
④ライフスタイルの選択肢が多い
ライフスタイルとは、日常生活から趣味まで、幅広い意味をさします。
たとえば食事スタイルについて。
都会ならスーパーやコンビニ、飲食店の数も多く、配達サービスも充実しています。
自炊で節約、面倒なので外食、効率重視で外注(配達)など、生活スタイルや障害特性に最適なものを選べます。
これが田舎なら、「近隣スーパーまで車で30分以上、コンビニや外食チェーンは少なく、配達はCOOPだけ」といったところでしょうか。
不便なぶん計画的に動く必要があり、選択肢も少ないです。
これでは快適な生活からほど遠いですよね。
外部サービスを利用して障害をカバーしにくい。
発達障害が都会に住むデメリット


次に、「発達障害が都会に住むデメリット」についてです。
- 孤独感
- 自己管理が必要
- お金がかかる
ひとつずつ見ていきましょう。
①孤独感
都会では、アパートの隣人だろうと他人です(ふつうですが)。
職場の人としか関りがない状態では、生活から”日常会話”が消え去ります。
特に僕は在宅フリーランスなので、発する言葉は「袋持ってます」「クレジットで」の2文節がMAXです。
発達障害は対人コミュニケーションが苦手ですが、人並みに「寂しさ」「孤独感」を感じるというやっかいな生き物。
適度に会える友人がいるならいいですが、完全に孤立無援ならば、精神的にキツいかもしれません。
ひとりで抱え込みがちな人は、孤独感に要注意。
②自己管理が必要
自由で選択肢が多ければ、自己管理が必要になります。
これに関しては、都会・田舎関係なく「一人暮らし」のデメリットですね。
僕が一人暮らしをして感じた、管理が必要な項目は以下になります。
- 収入と支出
- 食事の栄養バランス
- 睡眠時間
- 適度な運動
- 最低限の掃除・洗濯
発達障害の衝動性や先延ばし癖をある程度コントロールできなければ、一人暮らしによって生活が破綻する可能性も。
ただ、これは努力どうこうではなく、障害の特性や重さによって「できること・できないこと」が決まってしまいます。
無理して克服しようとするのはよくないので、できなさそうなら用検討です。
解放された生活が自分にどう働くか、バランスを考えよう。
③お金がかかる
都会暮らしは生活費がかかります。
家賃相場は上がり、お店やサービスが充実しているぶん余計な出費もかさみます。
会社帰りに大型商業施設があると、ついつい買い物や食事にお金を使ってしまうんですね。
生活費や税金を自分で管理して払わなければならないので、お金に関する気苦労は尽きません。
そして実家なら、生活コストをほぼ0に抑えることができます。
生活コストがかかり、自制も必要。
発達障害が田舎に住むメリット


発達障害が田舎に住むメリットは、下記になります。
- 理解者の存在
- 田舎独自の仕事がある
- 競争相手が少ない
①理解者の存在
発達障害の症状は、ほとんどの人に理解されません。
当たり前のことが当たり前にできない以上、会社では特に嫌われる存在です。
ですが、昔からの友人や家族だけは、ありのままの人間性で判断してくれます。
もちろん、それは友人や家族に恵まれた一部の発達障害者の特権です。
ですがもしそうした理解者がいるなら、身近にいてくれることでメンタルが安定します。
理解者にいつでも相談できる環境はメリット
②田舎独自の仕事がある
田舎にしかない仕事があり、それがぴったりハマるかもしれません。
- 地域おこし協力隊…農業・漁業への従事、地域のイベント運営をする。総務省の取り組みで任期は最長3年。
- 農業…障害者雇用の一環として、農業との親和性が注目されている。
- 事業継承…自治体経由で事業の継承が可能。
オフィスワークでは効率化やコミュニケーションが重要になります。
発達障害の特性上、とても相性が悪いです。
「ひとりでできる・毎日決まった作業を繰り返す」といった案件は、田舎でも見つけることができます。
掘り出し物の仕事が眠っているかもしれない。
③競争相手が少ない
求人数が少ない、会社が少ない、人が少ない…。
これらはマイナス要素ばかりではありません。
優秀な人材はどんどん都会に出ていきますよね。
となれば、都会よりも田舎にいた方が、自分の相対的価値が高くなります。
もしも大企業や競争の激しい業界で落ちぶれているなら、環境を変えることで改善するかもしれません。
相対評価の観点から自分の価値を上げることができる。
発達障害が田舎に住むデメリット


ここからは、発達障害が田舎に住むデメリットです。
- 求人数が少ない
- 心療内科の数が少ない
- 価値観に縛られる
- 他人が気になる
- 生活が不便
田舎では現状維持バイアスが強くかけられるので、強い意思がなければ変わることができません。
発達障害がありのままで生きていくのは困難です。
働き方や考え方、生き方を変えていかなければなりません。
そういった意味で、田舎は泥沼とも言えます。
①求人数が少ない
発達障害には適職や天職はないと考えてもいいです。
妥協と我慢のすえ、「どうにか生きていける仕事」を見つけられたら御の字でしょう。
となれば、仕事の選択肢は多ければ多いほどいい。
たとえば同じチェーン店のバイトでも、店舗ごとに忙しさや人間関係は違いますよね。
「仕事は好きだけど人は嫌」というパターンなら、簡単に店舗を変えられます。
こうやって試行回数を稼げないのは、田舎のデメリットです。
ダメならすぐ切り替えられる、この環境が大事。
②心療内科の数が少ない
田舎では、発達障害をはじめとした精神疾患への理解・支援が遅れている傾向があります。
実際に、僕の田舎と県をまたいだ地方都市の隣町とでは、障害者支援に10年差があると言われています。
発達障害は専門家でなければ正しい診断ができません。
田舎の発達障害診療では、信頼度がどうしても下がります。
せめて診断だけでも、都会で済ませるべきです。
障害者手帳取得は、最善の環境でトライするべき。
③価値観に縛られる
発達障害は”普通”ではありません。
人との違いを分析し、最も生きやすい方法を体当たりで探していかなければなりません。
そんな中、世間の常識を押し付ける人が周りにいたらどうでしょう。
せっかく自分の道を進もうとしているのに、「やっぱり無理かな…」なんて立ち止まってしまいます。
田舎ほど人との距離が近いです。
もし周りに常識人間が多いなら、田舎は発達障害者にとって地獄です。
自分を縛る人が身近にいてはならない。
④他人が気になる
発達障害者は、何をしても悪目立ちして怒られます。
これが積み重なると、「普通の人への擬態」に全神経を使うことになります。
そんな状態では、自分の本心や適性が見えてきません。
田舎では人の距離が近くプライバシーも守られないため、余計な情報やプレッシャーに惑わされます。
他人は生きる上での障害でもある。
⑤生活が不便
田舎だと物理的な問題で、利用できる店舗やサービスが限られてきます。
これは発達障害にとって不利です。
掃除ができないなら家事代行サービス、自炊ができないなら外食、維持費が払えないならカーシェア…。
「できないことを他の力で補う」という手段を取れないと、じわじわ自分の首を絞めることになります。
「便利」は逃げではない。とことん使い倒すべきもの。
発達障害は都会と田舎のどちらを選ぶべきか まとめ

この記事では、「発達障害は都会と田舎のどちらを選ぶべきか」について解説してきました。
もう一度、ポイントをおさらいします。
- 発達障害には都会がおすすめ
- 仕事の選択肢が多い
- 心療内科の数が多い
- 生活の幅が広い
- 自己管理が大切
障害の特性や重さによりますが、都会の方が発達障害の多様性を満たすことができます。
あるいは、「都会・田舎」の二元論ではなく、「地方都市」という選択肢もあります。
ほどよく都会で、ほどよく田舎。
地元の近くに栄えた街があるなら、そこを拠点にするのもいいですね。
自分の性格や障害特性・家庭環境など、あらゆる状況から総合的に判断しましょう。