発達障害は子供にあらわれる症状という認識が強いですが、実は社会人になってから自覚する人も大勢います。
僕もその中のひとりで、社会人になってから自分が発達障害だと気付き、クリニックに通い始めました。
「社会人になってから急にうまくいかなくなった」「毎日上司に怒られてつらい」こんな悩みを抱えている人は世の中に大勢いると思います。
でもほかの同僚と比べてあまりにも出来が悪いなら、それは発達障害の可能性があります。
あなたはこんな悩みをもっていませんか?
- 自分が発達障害かどうかちゃんと知りたい
- 病院や心療内科に行くのは気が引ける
- 診断にかかる時間や手間が知りたい
- 薬は処方してもらいたい
そんな悩みを解決します。
この記事では、「発達障害の診断を受けるまでの流れ」について紹介します。
発達障害の診断を受ける流れがわかれば、いまの困りごとを解決するために行動しやすくなりますよ!
入社3年目で発達障害の診断を受け、精神障害者手帳3級を取得したぼくが、診断までの流れについて書いていきます!
目次
発達障害の診断を受ける流れ

発達障害の診断を受ける流れは、以下のとおりです。
- 初診の予約
- 問診
- 投薬療法・経過観察
- 精密検査
- 最終的な診断
僕の場合は、初診の次の週から投薬治療による経過観察を行い、その後に精密検査、最終的な診断結果がでるまで5か月かかりました。
そもそも予約が混んでいること、投薬治療は量を調整して時間をかけておこなうことから、「すぐ精密検査してホイ診断書!」というようにはいきません。
しかし診断そのものは経過報告や相談がメインになるので、1回につき15分くらいで終わっていました。
つまり発達障害の診断は、「1回1回の診断は早く終わるけど、診断書をもらうまでに時間がかかる」のです。
すぐには診断書をもらえないのがネック…。
発達障害の診断はなぜ時間がかかる?
発達障害の診断を受ける上での最初の難関は、”初診の予約”。初診の予約をするのに3か月~半年待ちなんてザラです。
なぜこんなに待たされるのかというと、発達障害の診断数が爆増しているからなんです。
下のグラフをご覧ください。これは発達障害によって特別学級に通っている児童数の推移です。
出典:一般社団法人 日本障害者支援協会
この資料によると、特別学級に通っている発達障害児の数は年々増加していることがわかります。
これは発達障害児が増えたというよりかは、発達障害が世間から認知されるようになった結果です。
最近ではタレントの栗原類さん、歌手の米津玄師さんが発達障害をカミングアウトしており、あのビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグも発達障害だと言われています。
このようにテレビを通して発達障害が取り上げられることで、昔よりも一層認知されるようになりました。
そうした事情もあり、発達障害の診断では子供も大人も予約する人が急激に増えたのです。
勇気を出して病院やクリニックに電話しても、「ご予約は半年先になりますがよろしいでしょうか?」なんて言われたらやる気をなくしますよね…。笑
僕も最初はめんどくさくなって受診を諦めたのですが、そうも言っていられなくなるほど消耗したため、3か月待ちのクリニックを探し出して予約しました。
ちなみに僕の通っていたクリニックでは、一度受診さえすれば1~2週間のペースで通えるようになりましたよ!
初診まで辛抱強く耐えることが肝心!
発達障害の診断はめんどう?
発達障害の診断は経過報告か相談がメインの内容なので、早ければ15分くらいで終わるため負担は少ないです。
まず初診では、アンケートで次のようなことがきかれます。
□物事を行うにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことが時々ある。
□計画性を要する作業を行う際に、作業を順序だてるのが困難だったことが時々ある。
□約束や、しなければならない用事を忘れたことが時々ある。
□じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることが、頻繁にある。
□長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることが頻繁にある。
□まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることが頻繁にある。
出典:医療法人 和楽会
ネットの診断でよく出てくる内容ですね。答えたことがある人も(ほぼ当てはまって絶望した人も…)多いのではないでしょうか?
その他、いま困っていることや幼少期のことなども聞かれました。
それ以降は、薬を投与したうえでの経過報告や、症状緩和のために何をしていったらよいのかを相談する時間でした。
先生も「会社で役立つライフハック」みたいな具体的なことは教えてくれなかったので、だんだんと薬を処方してもらうための通院となっていきましたね。笑
診断は負担にならないから大丈夫!
発達障害の診断書はどうすればもらえる?
発達障害の診断書をもらうには、精密検査をする必要があります。
僕のクリニックでは以下のテストを行いました。
- ロールシャッハテスト
- クレペリン検査
- 口頭での知能検査
- 積み木の組み立て
…etc
などなど、みっちり3時間かかったのでめちゃくちゃしんどかったです。笑
ロールシャッハテストというと聞きなれない人が多いですよね。たとえば、次の画像を見てください。
出典:Gigazine
あなたはこの絵が何に見えましたか?ちなみに僕は「羽を広げたコウモリ」に見えました。
このような、左右対称でインクをまき散らしたような絵を10枚見せられ、どのように見えたのかを回答し、最後には1枚ずつ「なぜそう見えたのか」を説明するという検査です。
僕は抽象的な考えがとても苦手なタイプだったので、この検査は苦痛で本当に発狂しそうでした。
発達障害を拷問にかけるなら、ロールシャッハテストを1日中やらせたらいいと思いますよ。
こうした風変わりなテストも交えながら、3時間におよぶ知能・知覚検査をして精密検査は終了。
この精密検査とこれまでの診察内容を考慮して、最終的な診断結果が決まります。
この検査から3週間後くらいに結果発表があり、僕はADHDとの正式診断を受けました。
これまでの症状と精密検査を考慮して診断がきまる!
発達障害の診断は気軽に行ってOK!

「ネット診断だと発達障害の可能性が大だったけど、病院に行くのは大げさかな…」
こう思って、病院やクリニックに行くのをためらっている人もいますよね。
その気持ちはよくわかります。僕も診断を受けるまで自分を”普通の人”と思っていたので、わざわざ病院に行くことは「甘え」だと考えたこともありました。
ですが、発達障害の特性によって困っているのは紛れもない事実。
まず敵を知らなければ対策もできません。手軽なネットの診断で終わらせるのではなく、専門家に相談してきちんと向き合うのがいちばんです。
発達障害の特性で困っているなら、専門家に相談するべき!
発達障害の診断に行くのは言い訳じゃない
先ほどもお伝えしましたが、いまは発達障害の診断を受ける人が本当に多いんです。
発達障害の知名度があがるにつれて、ネットでも簡単に情報が手に入るようになりました。
僕自身、会社の昼休み中に「仕事 できない つらい」という地獄のようなキーワードで検索していたところ、発達障害の記事を見たのがきっかけで診断を受けています。笑
クリニックの先生も「戸田さんみたいに社会人になってから気付く人が本当に多いんですよ」と言っていました。
発達障害は周りの人に理解されづらいので、「無能な自分がわるいんだ」とつい自分をせめてしまいます。
ですが「病院に行く=言い訳、逃げ」ではありませんし、ネット診断だけでは絶対に正しい理解ができません。
ふらっと占い師に愚痴をこぼしに行くような、そんな気軽さでいいと思いますよ!
しっかり自分と向き合うためにも行動しよう!
とりあえず予約だけしてみよう
発達障害の診断はとても人気で、「今すぐ行きたい!」というタイミングで電話をしても3か月は待たされてしまいます。
迷っているなら、”とりあえず予約”だけしてみてはどうでしょうか。
発達障害の診断を考えているということは、少なからず追い詰められているということです。
真面目な人ほど現状を受け入れてしまうので、「どうせまだ先だし、とりあえず予約だけしとくか」くらいでちょうどいいです。
もちろん悪意のある空予約はいけません。ですが、とりあえず入れた予約日が、だんだんと「待ち望んだ日」に変わっていくと思います。
なぜなら、発達障害は正面から向き合って対策しなければ、けっして改善しないからです。
未来のあなたを救うためにも、勇気を出して行動してみませんか?
未来の自分のために、今から診断を予約しよう!
発達障害の診断で薬は処方してもらえる?

ADHDの治療薬として、コンサータ・ストラテラ・インチュニブがあります。
これらの治療薬は、処方する資格のある先生に担当してもらえれば、処方してもらえる可能性があります。
この3種類の薬は、医者からの処方箋がなければ手に入れることができません。
また、処方できる先生とできない先生がいるので、病院によっては処方してもらえないというケースもあります。
治療薬を処方してもらえるかどうか、事前によく調べたうえで病院をきめるようにしましょう。
資格を持った先生だけが、治療薬を処方してくれる
治療薬では完全に治らない
「コンサータを飲んで症状が治った!」「ストラテラで健常者の景色がわかった!」という声がネットでよくみられます。
ひとつ注意していただきたいのは、ADHDの治療薬は万人に効くものではありません。
僕もコンサータを3か月ほど使っていましたが、ほとんど症状は改善されませんでした。
それよりも、副作用の吐き気や動悸息切れ、覚醒作用がひどかったですね…。
他のレビューからコンサータに希望を見出していたので、「自分はコンサータが効かない側の人間だった」というのがとてもショックでした。
治療薬には期待しすぎず、宝くじだと思っておこう!
治療薬の値段は?
気になるお薬のお値段ですが、以下が1日分の表になります。
コンサータ | 「18㎎:344円」「27㎎:381円」「36㎎:410円」 |
---|---|
ストラテラ | 「5㎎:203円」「10㎎:242円」「25㎎:304円」「40㎎:344円」 |
インチュニブ | 「1㎎1錠:411円」「3㎎1錠:543円」 |
僕は仕事がある平日5日間だけ飲むようにしていたので、1か月で20日間分。
自己負担3割とはいえ、けっこういたい出費になりますね…。
僕はコンサータ72㎎を服用していたので、1日あたり246円、20日間分で約5000円支払っていました。
これでADHDの症状が抑えらえるのならじゅうぶん安い投資です。
でも副作用ばかりであまり効果を感じられなかったので、いまでは服用していません。
治療薬はけっして安い出費ではない!
発達障害の診断を受けるメリット

発達障害の疑惑が自分の中に生まれたら、診断を受けることをおすすめします。
発達障害の診断を受けるメリットは3つあります。
- 自分の症状についてわかる
- 気持ちが軽くなる
- 精神障害者手帳が手に入る(かも)
それでは、発達障害が診断を受けるメリットを紹介します。
自分の症状についてわかる
発達障害の診断を受けることで、自分の症状と対策についてわかります。
専門家から正確な診断を受けることができるので、ネットで調べるよりも具体的で効果的な対策を立てることができます。
僕も診断を受けたことで、「あいまいなもの、複雑なものからの刺激に弱く、テンポが遅れる」という弱点に気付くことができました。
仕事ができない原因となる症状についてわかるので、今後に活かすことができます。
ネット診断だけでは正確な結果は得られない!
気持ちが軽くなる
発達障害の受診をすると、気持ちがだいぶ軽くなります。
家族や友人・同僚に相談しても、「そんなの気にしすぎだよ!」と言われてしまうのがオチ。
自分の悩みを真摯に受け止めてくれるというだけでも、発達障害の受診をする意味はあると思います。
僕も初診の後は、この世に自分の味方がひとり増えたような気がして、とても心強かったです。
病院の先生は自分の味方!どんどん頼ろう!
精神障害者手帳が手に入る(かも)
もし精密検査のすえに発達障害と診断されたら、「精神障害者保健福祉手帳」を申請できるようになります。
医者からもらった診断書を市役所に提出し、審査が通れば手帳が交付されます。
※ちなみに上の画像は、僕が実際にもっている障害者手帳です。
この手帳があれば税金面で優遇されますし、ハローワークでも障害者雇用の求人を紹介してもらえるようになります。
抵抗がある人もいますが、個人的には「もらっておいて損はない」と思います。
精神障害者手帳をねらってみよう!
発達障害の診断を受けるデメリット

発達障害の診断を受けるデメリットは3つあります。
- 診断に時間がかかる
- 医者によって言うことが違う
- 障害を受け入れる必要がある
発達障害の診断を受けるデメリットについて、解説していきます。
診断に時間がかかる
発達障害の診断はすぐに確定するものではありません。
長期スパンでの投薬検査でようすを見て、精密検査まで完了させるのに3か月はかかると思います。
また、障害者手帳を交付されるまで、最低でも半年はかかります。
なぜなら、手帳交付に必要な診断書を医者が発行するには、「初診から半年以上経過していること」が条件になっているからです。
障害者手帳を取得してから退職すれば、税金や失業手当で優遇されます。
しかしそのために半年間は今の仕事を耐えなければならないので、辛い期間になりますね…。
救いの手があらわれるまでにラグがある
医者によって言うことが違う
発達障害の診断には明確な基準がなく、医者によって言うことが違う場合があります。
この理由は、障害等級の判定基準を見てもらえればわかります。
精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について
3級:精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
1 調和のとれた適切な食事摂取は自発的に行うことができるがなお援助を必要とする。
2 洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持は自発的に行うことができるがなお援助を必要とする。
3 金銭管理や計画的で適切な買物はおおむねできるがなお援助を必要とする。
4 規則的な通院・服薬はおおむねできるがなお援助を必要とする。
5 家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりはなお十分とはいえず不安定である。
6 身辺の安全保持や危機的状況での対応はおおむね適切であるが、なお援助を必要とする。
7 社会的手続や一般の公共施設の利用はおおむねできるが、なお援助を必要とする。
8 社会情勢や趣味・娯楽に関心はあり、文化的社会的活動にも参加するが、なお十分とはいえず援助を必要とする。
(上記1~8のうちいくつかに該当するもの)
出典:厚生労働省HP
これは精神障害者手帳3級の診断基準の一部になります。
見てのとおり、知能検査の点数だとか、CTスキャンの状態だとか、そういった明確な基準がありません。
あくまで医者の主観できめられてしまうような内容です。
実際に、最初の病院では発達障害ではないと言われたけれど、病院を変えたら発達障害の診断書をもらえたという方もいます。
場合によってはセカンドオピニオンで二度手間になるかもしれないので、運要素があります。
発達障害の診断基準はあいまいなので注意!
障害を受け入れる必要がある
発達障害の診断を受けるということは、障害を受け入れる必要があるということです。
僕は障害者手帳がほしくて仕方なかったので、ADHDだと言われてむしろ安心しました。
ですが、今まで健常者として過ごしてきたのに、ある日とつぜん障害者になるのは、誰でも簡単に受け入れられることではありません。
特に世代が高くなるほど、障害への抵抗感が増す傾向にあるそうです。
障害者と認められる心の準備はしておこう!
発達障害の診断を受ける流れ まとめ

この記事では、発達障害の診断を受ける流れについて解説してきました。
もう一度、ポイントをおさらいします。
- 初診に3か月~半年待ち
- 相談と投薬治療を経て精密検査へ
- 初診から半年で精神障害者手帳を申請できる
初診の壁・半年の壁はありますが、いまの症状と向き合うためにも診断を予約することをおすすめします!
僕自身、精神障害者手帳を取得できたことで、退職してフリーランスになる勇気を出すことができました。
こうしたメリット・デメリットを踏まえたうえで、これからの自分のために行動していきましょう!
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