書評

【発達障害に役立つ本】嫌われる勇気【劣等感との向き合い方】

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今回は、発達障害の劣等感と向き合うのに役立つ本を紹介します。

それがこちら、古賀史健・岸見一郎著嫌われる勇気です。

日本で200万部、世界で443万部売れている大ベストセラーですね。

2017年に香里奈さん主演のドラマも放送されており、名前だけは知っているという人も多いのではないでしょうか。

この本は、「人から嫌われても気にするな!」という趣旨ではなく、徹底的に自分と向き合うための考え方を書いています。

こんな人におすすめの本!

  • 発達障害の劣等感が苦しい
  • 他人の目が気になって窮屈
  • 人より劣っている自分が許せない

僕は社会人になってからADHDと診断されました。

仕事ができない、年収が低い、彼女ができない…。

同級生は有名企業に勤めてリア充ライフを送っているのに、自分は発達障害にひたすら苦しめられている。

僕はまさに劣等感の塊で、首吊り用のロープを買うまで追い詰められていたのです。

この本を読むことで、「なぜ自分はこんなに苦しんでいるのか」という理由が分かりました。

まだ完全に劣等感を捨てられていませんが、以前よりずいぶん楽になりましたね。

発達障害者の視点で、劣等感との向き合い方を解説していきます!

目次

発達障害が劣等感を抱く原因

悩む女
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
定型(健常者)より劣ってるんだから、卑屈になって当然でしょ。

発達障害が劣等感を抱く原因は、次の3つです。

劣等感を抱く原因
  1. できない事が多い
  2. 他人と比べる
  3. 発達障害は治らない

発達障害があると、仕事や人間関係がうまくいきません。

それに、発達障害は脳の機能障害なので、改善はできても克服はできない。

死ぬまで発達障害に苦しめられる人生なんです。

劣等感を抱いて当然ですよね。

できない事が多い

発達障害は、ワーキングメモリが定型と比べて小さいです。

  • 計画や優先順位を立てられない
  • 要領よく行動できない
  • テンポよく会話できない
  • マルチタスクができない
  • 予定や手順を覚えられない

ワーキングメモリが小さいと、仕事で本当に苦労します。

社会人に求められるスキルが軒並み壊滅しているので、働くのが苦痛で仕方ありません。

会社での発達障害者は、ただの無能でしかない。

他人と比べる

人は他人と比べてしまう生き物です

ですが発達障害が定型と張り合って、勝てるものがありますか?

仕事ができる人ほどプライベートも充実していて、性格もいいですよね。

無能でひねくれていて孤独で貧乏な発達障害者が、そんな定型と比較してもみじめになるだけです。

それでも他人を気にしては、嫉妬と劣等感を抱き続けるのです。

定型には何ひとつ勝てず、生きている意味が分からない。

発達障害は治らない

発達障害は脳の先天的な機能障害なので、治ることはありません。

ADHDならコンサータという薬で劇的に改善する人もいますが、僕は違いました。

絶望しましたね。「コンサータが効かない側の人間なんだ」と。

どんなに努力しても、人より劣っていることが確定している人生。

親の遺伝子のせいなのに、自分は何も悪い事をしていないのに、あんまりにも理不尽です。

自分は”発達障害者”という理不尽な人生を強要された被害者である。

発達障害の劣等感がよくない理由

本の画像
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
発達障害の苦しみがわからないヤツに説教されたくないね。

発達障害の劣等感がよくない理由は、次の3つです。

劣等感がよくない理由
  1. 劣等性と劣等感を混同している
  2. 発達障害をできない理由にしている
  3. 発達障害という不幸を必要としている

ここからは、理屈っぽく聞こえて受け入れがたいかもしれません。

僕も最初は「じゃあアドラーてめぇも発達障害持ちで会社勤務してみろや」と言いたくなりました。

ですが”理屈の上では”筋が通っており、いい考え方ではあると思いました。

それに、僕がかつて”キラキラ発達障害者”とさげすんでいた人達は、こうした考え方で満足そうにしています。

特性は違えど、同じ発達障害者でも受け取り方が全く違う。

もしかしたら、自分の考え方がよくないのかもしれない。

そう考えたら、アドラーの説を受け入れることができました。

劣等性と劣等感を混同している

まず僕たちは、劣等性と劣等感を混同しています。

劣等性…発達障害の特性。定型より能力が低いのは、変えられない事実。

劣等感…劣等性の受け取り方。事実に対し自分がどう思うか。変えられる感情。

要は、「発達障害で定型より苦労するのは仕方ないけど、それを悪く思うのは自分の責任」という事です。

「そんなの恵まれてるから言えるんだろ!」と怒りたくなるのはよくわかります。

ですが、自分より症状が重くて環境的にも恵まれないのに、ポジティブな発達障害者っていますよね。

そして仕事などで結果を残している。

こうした人は、劣等性を認めたうえで、それに劣等感を抱かず前向きに努力するんです。

劣等感を抱くのは自分の責任。発達障害のせいではない。

発達障害をできない理由にしている

発達障害が原因でできないことがあるのは事実です。

ですが、関係ない事も発達障害のせいにして、言い訳してはいないでしょうか。

「じゃあ発達障害じゃなければできるんだな?」ということです。

僕は以前、「発達障害だから彼女ができない」と思っていました。

コミュ障で、要領が悪くて、仕事ができないし、発達障害男性の多くは恋愛弱者だ、と。

ですが、もし僕が定型だとしても、モテなかったと思います。

プライドが高くて卑屈、報われないのが怖くて努力もできない。

表面を取りつくろう以前に、そもそも人間的な魅力に欠けていたのです。

発達障害で不利になってしまうのは事実です。

しかし、因果関係のないことにまで発達障害を持ち出して、言い訳の材料に使っていた自分がいました。

それは本当に発達障害のせいかのか?一度考えてみよう。

”発達障害という不幸”を必要としている

アドラーは、「私たちの文化においては、弱さは非常に強くて権力がある」と述べています。

この言葉、けっこうドキっとしませんか?

僕は無意識のうちに、発達障害の権力にすがっていました。

  • 発達障害だからできなくても許すべき
  • 発達障害に合理的配慮をしない社会が悪い
  • 発達障害への金銭的支援は当たり前
  • 定型は不幸な発達障害をいたわるべき

僕は、発達障害を言い訳にしないように気をつけていたつもりでした。

実際、上司にどれだけ罵倒されても、発達障害を理由にしたことはありません。

しかし心の奥底では、発達障害の権力に依存していたのです。

「発達障害の地獄から抜け出したい」と思っていたつもりが、心の平穏のために”発達障害という不幸”を必要としていました。

自分を正当化するため、不幸であることを求めていた。


発達障害が劣等感と向き合う方法

自分と向き合う
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
理屈はわかったけど、劣等感をなくすなんて無理だよ…。

発達障害が劣等感と向き合う方法は、次の3つです。

劣等感と向き合う方法
  1. 取るべき行動を可視化する
  2. 理想の自分と比較する
  3. 他人をシャットアウトする

劣等感を消すには、行動して成長するしかありません。

ですが、比較するのは理想の自分だけです。

自分の人生に、他人は一切関係ありません。

理想の自分を目指して、コツコツ積み上げる。

そして過去の自分を越えていく。

発達障害は、それでしか救われないと思います。

取るべき行動を可視化する

まずは、自分が取るべき行動を可視化しましょう。

たとえば、最大の悩みが「仕事が憂鬱」だとしますね。

これを解決するために必要な行動を細分化・可視化します。

  • 物忘れが激しい→メモを複数使う
  • 商談が苦手→先輩と練習する
  • 作業が遅い→原因を上司に指摘してもらう
  • そもそも仕事が向いてない→転職相談
  • 人間関係が苦手→関わらないように行動
  • 職場環境が苦手→時間帯や場所を調整

問題点をやるべきことをハッキリさせれば、漠然とした不安は消えます。

あとは「やるかやらないか」の問題です。

確実に前進することがわかっているなら、やらない理由はありませんよね。

やるべきことを可視化すれば、一歩踏み出せる。

理想の自分と比較する

このとき、他人と比較するのは厳禁です。

発達障害者は、努力量に対するリターンが低すぎるので、定型と比べたら心が折れます。

そもそも、定型が悩みすらしないことで苦戦しているので、何だか努力することがバカバカしくなりますよね。

その気持ちはよくわかりますし、僕もよく押しつぶされそうになります。

でも「なんでこんな理不尽な目に…」と嘆いていたら、足が止まるんです。

現状維持をすれば、不幸になるのは確定。

まずは”少しでもマシな不幸”を目指し、進んでいきましょう。

定型と比べ出したら、全てを放棄したくなる。

他人をシャットアウトする

ただ頭ではわかっていても、どうしても他人が気になってしまいますよね。

こればかりは仕方ないので、他人との関係を物理的に断ち切りましょう。

たとえば、会社で自分より営業成績のいい同期に嫉妬してしまうなら、なるべく会話しないようにする。

インスタでキラキラしてる友人に嫉妬してしまうなら、ミュートする。

こうして接触回数を減らすことで、だんだんと意識する回数も減っていき、気にならなくなります。

比べるのは仕方ないので、仕組みで解決しよう。

それでも劣等感に潰されそうなとき

怒りを鎮める
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
今まで卑屈になって生きてきたのに、今さら簡単に変われないよ…。

それでも劣等感に潰されそうなときは、次の3つの方法を試してみましょう。

劣等感に潰されそうなとき
  1. 忙しくする
  2. 人間関係を断捨離する
  3. 環境を変える

劣等感はそう簡単に消せるものではありません。

とても根深い問題ですから、時には強行策が必要です。

忙しくする

あれこれ余計なことを考えてしまうのは、単に暇だからです。

たとえば仕事でてんやわんやしている時に、嫌いな上司のことで頭を悩ませますか?

発達障害はただでさえワーキングメモリが小さいので、悩むキャパすら残っていないはずです。

仕事や趣味を詰め込み、あえて忙しくすることで、劣等感を抱く暇を自分に与えないようにするのです。

どうせなら、副業チャレンジがいいですね。

平日と休日の空いた時間の全てを、副業やその学習に使う。

忙しくなるし、会社を辞められる可能性も上がるし、一石二鳥です。

一生懸命何かに挑戦して、劣等感を無理やり消し去ろう。

人間関係を断捨離する

学生時代はみんな平等だった友人とも、年を重ねるごとに格差がついてきますよね。

僕は新卒で落ち目の中小企業に入社しましたが、友人の多くは有名企業や市役所に勤めています。

入社3年目の時点で、年収の差は1.5倍に広がりました。

こんなの嫉妬するしかないですよね。

だから僕は、友人とはなるべく会わないようにしました。

別に友人を嫌いになったわけではありませんが、どうしても嫉妬するので仕方ありません。

会うとしても、年に1回あるかないか。

それなら話題は当時の思い出話が中心ですし、会う回数自体が少ないので、ダメージも軽減されます。

たとえ友人でも、自分に悪影響が出るなら交流を断つ。

環境を変える

発達障害でも適応できる環境は限られています。

僕の場合は、明らかに会社員という働き方が向いていませんでした。

だから僕は、ストレスがより少ないフリーランスの道を選んだのです。

それにフリーランスなら、身近な人とは立場が違い過ぎて、比較すること自体がなくなります。

もちろん、稼いでいるフリーランスをTwitterで見て落ち込むこともありますよ。

でもグダグダ悩んでたら貯金が無くなって死ぬので、やるしかないんです。

こういった状況にあえて身を置くのも、荒療治としていいと思います。

わざわざ向いていない環境を選ぶ必要はない。

「嫌われる勇気」発達障害が劣等感と向き合う方法 まとめ

像と本棚

この記事では、「嫌われる勇気」から発達障害が劣等感と向き合う方法について解説してきました。

最後にもう一度、ポイントをおさらいします。

ポイントのおさらい
  1. 劣等性と劣等感を混同しない
  2. ”発達障害という不幸”を求めない
  3. 理想の自分とだけ比較する
  4. 行動でしか救われない

発達障害のせいで、定型のように”普通”になれない。

これはどうしようもない事実だし、とても理不尽です。

僕は自分を発達障害に産んだ親を恨んでいるし、だから絶縁しています。

ただ、劣等感や怒りは際限がないので、いつまでも自分を苦しめます。

発達障害という地獄に、さらなる地獄を加えているのは、自分の心なのです。

このことを教えてくれたのが、「嫌われる勇気」でした。

「嫌われる勇気」は、哲学者と青年の会話形式になっており、とても読みやすい本です。

アドラー心理学を否定する青年の主張は、まさに自分そのもの。

共感して物語にグッと入り込むことができるので、読書が苦手な人にもおすすめです。


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