あなたにもし発達障害の疑いがあるなら、「精神障害者手帳(正しくは精神障害者保健福祉手帳)」の取得をおすすめします。
あるいは、診断を受けようか迷っているという人は、「精神障害者手帳をもらうために診断を受けてみる」のもアリです。
なぜなら、精神障害者手帳にはさまざまなメリットがあり、「取得しておいて損はない」と言えるからです。
あなたはこんな悩みを抱えていませんか?
- 精神障害者手帳のメリットを知りたい
- 精神障害者手帳を取得する方法を知りたい
- 精神障害者手帳は欲しいけど会社にバレたくない
こんな悩みを解決します。
- 発達障害が精神障害者手帳を取得するメリット
- 発達障害が精神障害者手帳を取得するデメリット
- 発達障害が精神障害者手帳を取得すると会社にバレる?
- 発達障害が精神障害者手帳を取得する方法
この記事では、「発達障害が精神障害者手帳を取得するメリット」を解説。
読み終われば、発達障害が精神障害者手帳を取得するメリットがわかり、損しない発達障害ライフを送ることができます。
ADHDで精神障害者手帳3級を取得しており、広告代理店で営業をしていた僕が、ADHDが会社員に向かない理由を解説していきますよ!
目次
発達障害が精神障害者手帳を取得するメリット


発達障害が精神障害者手帳を取得するメリットは、主に5つです。
精神障害者手帳の等級は1,2,3級とあり、それぞれ控除の金額や補償内容が異なります。
発達障害で何とか会社員をしている人の多くは、精神障害者手帳「3級」でしょう。
一人暮らしができていて(人間として)最低限の仕事ができているなら、発達障害に認定されない「グレーゾーン」or「3級」のどちらかです。
なので、今回は3級の内容で紹介していきます!
①税金が優遇される
精神障害者手帳を取得するメリットの一つ目は、「税金が優遇される」ことです。
精神障害者手帳3級で本人が優遇される税金はこちら。
- 所得税・住民税を27万円控除
- 相続税を10万円控除
- 心身障害者扶養共済制度に関しては非課税
他にもいくつかありますが、大事なのは「所得税・住民税を27万円控除」だけです。
所得税・住民税簡易計算機で所得税と住民税にどのくらいの変化があるのか試算してみました。
年収300万・所得税 | 77,000円(控除前)→67,450円(控除後)/9,550円 |
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年収300万・住民税 | 161,800円(控除前)→135,300円(控除後)/26,500円 |
年収500万・所得税 | 138,400円(控除前)→111,400円(控除後)/27,000円 |
年収500万・住民税 | 315,800円(控除前)→289,800円(控除後)/26,000円 |
あくまで概算ですが、年収300万なら年間で約36,000円お得になります!
小さな金額に思えるかもしれませんが、何もしてないのに「36,000円プレゼントです!」って言われたら嬉しいですよね。笑
所得税・住民税が優遇されてお得!
②料金が割引される
精神障害者手帳を取得するメリットの二つ目は、「料金が割引される」ことです。
たとえば大阪市の場合、以下の割引が認められています。
- 一部の路線バス・高速バス・フェリー 50%割引
- 一部の生協の配送料 50%割引
- Osaka Metoro 50%割引
- 一部のタクシー 10%割引
- 一部の駐輪場・駐車場 50%割引
- 一部の美術館 無料
- 一部の映画館 1,000円
- USJ(スタジオパス)大人4,100円
…etc
有名な施設なら、何かしらの障害者割引に対応していますよ!
僕は全然外出しないので活かしきれていませんが、映画1,000円には助けられています。
いつも利用している施設が割引に!
③障害者雇用へ応募できる
精神障害者手帳を取得するメリットの三つ目は、「障害者雇用へ応募できる」ことです。
ハローワークの求人には「一般枠」「障害者雇用枠」があり、障害者手帳を持っていれば「障害者雇用枠」に応募することができます。
また、ハローワーク以外の転職エージェントでも、障害者手帳を持っていることで非公開の障害者雇用枠を紹介してもらえることも。
一般雇用と比べて、障害者雇用は求人数が少なく、賃金も安い傾向にあります。
それでも、障害に配慮してもらいながら働けるのは大きなメリットです!
障害者雇用という選択肢が広がる!
④失業手当の期間が延びる
精神障害者手帳を取得するメリットの四つ目は、「失業手当の期間が延びる」ことです。
離職時の年齢や非保健期間にもよりますが、通常90日の給付期間を150~360日まで延ばせます。
通常なら自己都合退職になるところが、障害者手帳があることで「就職困難者」に分類されるためです。
失業手当は前職の給料の50~80%が支給されます。
仮に失業手当支給額が1日5,500円だとしたら、90日で総額495,000円、300日なら総額1,650,000円と、かなり大きな差に。
退職前に必ず手帳は取っておきたい!
⑤カミングアウトで説得力が増す
精神障害者手帳を取得するメリットの五つ目は、「カミングアウトで説得力が増す」ことです。
僕が上司に発達障害をカミングアウトしたときは、申請中で手帳はまだ手元にありませんでした。
そのためか、「考え過ぎだ」「医者は金もうけのためにそう言う」「それなら俺だって発達障害だ」と、ずいぶん侮辱的な言葉を浴びせられました。
もしあのとき精神障害者手帳を見せられていたら、上司の受け取り方も変わっていたでしょう。
発達障害の苦しみは他人には理解されないと思ってください。
それをわからせるためには、目に見える証明が必要なのです。
発達障害は目に見えない、だから手帳で証明しよう
発達障害が精神障害者手帳を取得するデメリット


発達障害が精神障害者手帳を持つデメリットは、特にありません。
精神障害者手帳による特典はあくまで”権利”なので、「必ず障害者雇用でなければならない」とか、「報告義務がある」といったことはありません。
ただあえてデメリットを挙げるなら、下記になります。
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
①クローズ就労でのトラブル
精神障害者手帳を取得するデメリットの一つ目は、「クローズ就労でのトラブル」に発展する可能性があることです。
応募書類や採用面接のときに、「健康状態」「病歴」を詐称すると、懲戒処分や懲戒解雇にあたるケースがあります。
もし健康や障害について聞かれたとき、クローズ就労を考えて事実を隠してしまうと、後々トラブルに発展するかもしれません。
税金の控除や健康保険の履歴でバレてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
書類にはしっかり目を通しておこう!
②心理的な抵抗
精神障害者手帳を取得するデメリットの二つ目は、「心理的抵抗」があることです。
これには個人差がありますが、年齢が高くなればなるほど、障害者手帳の取得に抵抗が生まれやすくなります。
発達障害の援助を定めた「発達障害者支援法」が制定されたのは2004年、障害者雇用促進法に発達障害が含まれたのは2018年と、ごく最近です。
40代だと発達障害が認知されない頃から働いているので、どうしても”障害者”へのイメージがよくありません。
僕は「この地獄から救われるためには手帳をもらうしかない!」と思っていたので、精神障害者手帳をもらったときは大喜びでした。笑
メリットだけではなく自分の”納得感”も大事
③更新の手間
精神障害者手帳を取得するデメリットの三つ目は、「更新の手間」があることです。
精神障害者手帳は2年ごとに更新があり、市区町村の窓口から受け付けています。
必要なものはこちら。
- 診断書
- 写真(縦4cm×横3cm、脱帽)
- 認め印(スタンプ印不可)
- 現在持っている手帳
- 個人番号(マイナンバー)カード、または番号確認書類と身元確認書類
少々めんどうくさいですが、2年に1回なら我慢できそうですね!
精神障害者手帳の更新は2年に1回
発達障害が精神障害者手帳を取得すると会社にバレる?


発達障害が精神障害者手帳を取得した場合、告知義務はありませんが会社にバレる可能性はあります。
ここからは、会社にバレるかもしれない原因について書いていきます!
告知義務はなし
精神障害者手帳を取得したとき、会社に報告するかしないかは本人の自由です。
厚生省が「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」を出しているので、基本的にプライバシーは守られています。
また、マイナンバーカードから情報が漏れるのを心配する方もいますが、心配無用です。
マイナンバーは行政機関同士が情報を握るための制度なので、民間企業に開示されることはありません。
会社に報告するかは自由!
税金控除でバレるかも
障害者手帳の取得は、年末調整の際にバレる可能性があります。
税金控除を使うには「一般の障害者」欄に名前を書く必要があり、会社に任せる場合はここを見られてしまうのです。
あるいは、所得税が控除されれば住民税も下がるので、税額通知からバレてしまう可能性も。
年収300万円なら住民税は26,000円下がります。
これは”誤差”の範囲とも言えますし、そこまで経理がチェックするかどうかもあやしいですね。
税金の控除を申請するときにバレるかも…?
どうしてもバレたくないなら
税金控除はしたいけど会社にバレるのがどうしても嫌な方は、以下の方法があります。
- 自分で確定申告をする
- 還付申請をする
①自分で確定申告をする
通常会社がおこなう確定申告を自分でしてしまえば、障害者控除の記入を見せなくて済みます。
しかしどのみち住民税は下がってしまうので、税額通知でバレてしまう可能性は消えません。
②還付申請をする
障害者控除は5年までさかのぼって申請することができます。
そして住民税は昨年度の所得で決まるため、2年以上前のものなら変動しません。
これを利用し、2~5年以上前の住民税をまとめて取り返すという方法があります。
これならば確実に会社にはバレません。
デメリットは手間とタイムラグです。
確定申告か還付申請で隠し通せる!
発達障害が精神障害者手帳を取得する方法


発達障害が精神障害者手帳を取得するには、最低でも9か月間ほどかかってしまいます。
「いますぐ手帳を取得して転職してやる!」と思っても、すぐには動けないのが現状です。
「もう限界…」と思ってから9か月間も働けませんよね?
自分が発達障害かもしれないと思ったら、いますぐ行動してください。
6か月間の診断を受ける
精神障害者手帳をもらうための診断書は、初診から6か月経過しなければ作ることができません。
僕は初診から3か月目くらいにADHDであることが確定しましたが、それでも診断書をもらうために6か月間は通院しました。
また、初診は働いている間に受けるようにしましょう。
初診日に厚生年金に加入していることを条件に、のちのち「障害厚生年金」を受け取れるかもしれないからです。
障害厚生年金は精神障害者手帳3級でも受け取れる可能性があり、障害基礎年金よりも間口が広いです。
診断については、【【大人の発達障害】診断を受ける流れ 時間や手間はかかる?】にまとめています!
診断書をもらうまでに最低6か月間は必要!
医者から診断書をもらう
精神障害者手帳の申請には、医者の診断書が必要になります。
市区町村の障害福祉担当窓口で診断書の用紙を受け取るか、フォーマットをダウンロードしましょう。
それを担当医に渡し、診断書を書いてもらいます。
その後、障害福祉担当窓口に「診断書、申請書、写真、マイナンバーカード」を持参して申請手続きをします。
手帳の申請が通るかどうかはこの診断書の内容で審査されるので、医者のさじ加減で決まってしまうと言っても過言ではありません。
あらかじめ担当医に手帳を取得したい旨を話しておき、自分が困っていることを丁寧に伝えていきましょう!
自分の現状は医者にしっかり伝えておこう!
約3か月間の審査
精神障害者手帳の申請をしたら、審査には約3か月の期間が必要になります。
自治体によっては1か月程度で審査が終わるところもあるようですね。
僕は大阪市でしたが、認定されるまでに3か月かかってしまいました…。
つまり、初診から手帳交付まで約9か月間、初診予約待ちも含めれば約1年間の時間がかかったわけですね。
手帳交付までの道のりは長い…。
発達障害が精神障害者手帳を取得するメリット まとめ

この記事では、「発達障害が精神障害者手帳を取得するメリット」について解説してきました。
もう一度、ポイントをおさらいします。
- 税金が優遇される
- 料金が割引される
- 障害者雇用へ応募できる
- 失業手当の期間が延びる
- カミングアウトで説得力が増す
数多くあるメリットの中でも、④はいざという時に助かります。
障害者手帳があれば転職や休職中の選択肢が増えるので、取るだけ取っておきましょう!
「まだ何とか会社でやっていけてるし…」と思っていても、いつ絶望の底に沈むかわかりません。
手帳交付までに僕は1年かかったので、動き出しは早いに越したことはありませんよ!
関連記事:【障害者雇用】 発達障害の就職・転職支援サービス【おすすめ8選】
