書評

【発達障害に役立つ本】「普通がいい」という病【発達障害に苦しむ理由】

アイキャッチ

発達障害者の願いはただひとつ。

「普通になりたい」ですよね。

僕は社会人になって発達障害と診断されました。

上司から怒られ、定型(健常者)に産まなかった両親を恨み、楽しそうな友人に嫉妬する毎日。

”普通”に苦しめられ、こんな人生に意味があるのかと本気で悩んでいました。

そんな時に出会ったのがこの本。

精神科医・泉谷閑示著、『普通がいい』という病です。


”普通”という洗脳や固定観念から自分を解放し、ありのままに生きるための方法や考え方が書かれています。

こんな人におすすめの本!

  • 普通に生きられなくて苦しんでいる
  • 会社や学校で何もかもうまくいかない
  • こんな人生を生きる意味がわからない

この本を読むことで、自分の中の普通を見つめなおし、自分らしく生きるための第一歩を踏み出すことができますよ!

発達障害当事者の視点で、この本を解説していきます!

目次

発達障害者を苦しめる自己コントロール

コントロール室
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
普通になるんだ…。無能な自分が悪いんだ…。

子供が自由に伸び伸びしているのは、心の声に従っているからです。

ですが次第に常識や周囲の目を気にするようになり、頭によって心はコントロールされます。

自己コントロールの特徴
  1. 自己コントロールのメカニズム
  2. 親の欲望に振り回される場合
  3. 意志力が強い人ほど危険

この自己コントロールに心が耐えきれなくなり、鬱やひきこもりとなって現われるのです。

自己コントロールのメカニズム

自己コントロールとは、心の声や直感を、頭が無理やり支配することです。

頭の判断基準は「道徳・常識・計算」によるもので、自分本来の欲求とはかけ離れています。

発達障害が生きづらいのは、自分の性格や直感を無視され、普通を強要されるからです。

次第に心の声が封じ込められ、「自分は普通になりたいんだ」と頭が勝手に解釈します。

発達障害の苦しみは、こうした自己コントロールによって生まれているのです。

頭は心の声を偽装するが、その違和感にストレスが溜まっていく。

親の欲望に振り回される場合

発達障害者は毒親持ちが多い印象があります。

それは、発達障害の子供を無理やり「普通の型」にはめようとするからです。

親は「お前のために~」を枕詞にするため、判断力のない子供はそれを愛情と受け取ります。

最初は違和感を感じながらも受け入れますが、徐々にそれが欲望だと気付くのです。

それが反抗期となったり、引きこもりの原因となったりします。

しかし親の支配が強いと、無意識に親の価値観に洗脳され、親元を離れても”違和感”に苦しめられ続けるのです。

いい大人になっても、親の価値観に支配され続ける場合がある。

意志力が強い人ほど危険

自己コントロールする意志力が弱い人なら、困難を前に挫折するので、まだ救いがあります。

問題は、意志力が強く、心を壊すまで頑張り続けてしまう人です。

発達障害ならば、「普通になれない自分が悪い、努力が足りない」と思い込み、働き続けてしまいます。

しかし最後まで理想と現実のギャップが埋められず、再起不能になってしまうのです。

自己責任論が過ぎると、自分の歪みに気付けない

発達障害者が向かないことを続けてしまう理由

悩む男
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
普通に働かないと生きていけないし、結婚もしたいし…。

発達障害者が向かないことを続けてしまう理由は、次の3つです。

向かないことを続けてしまう理由
  1. 頭による心の支配
  2. 弱音は逃げだと思い込む
  3. 自分にレッテルを貼る

苦しいのに辞められないのは、それだけ”普通”に強く拘束されているからです。

頭による心の支配

発達障害者の頭は、心の声を”普通”という鎖で支配します。

定型の価値観を普遍的で正しいと思い込んでいるので、仕事や対人関係に難があることを”悪”だと決めつけ、追い詰めます。

確かに僕も働いく中で、「当たり前ができない」のがとても苦しく、自分には存在価値がないと本気で思っていました。

サラリーマンだけが生きる道ではありませんが、僕にとって普通というレールから脱落することは”死”を意味していたのです。

刷り込まれた普通が、逃げ道を排除していく。

弱音は逃げだと思い込む

意志力が強く、かつ完璧主義だと、弱っている自分を許すことができません。

僕は真面目で我慢強くなるよう、小さい頃から親に仕込まれていました。

そのため、働きながら毎日自殺を考えていた時も、「こんな当たり前のことができなくて鬱になるのは甘えだ」と頑張っていたのです。

玄関のドアに首吊り用のロープをぶら下げて、「本当につらかったらすぐ死ねる。だから今日だけ頑張ろう」と思って家を出るのがルーティンでした。

退路を自ら断ってしまうので、向いていようが向いていまいが、自己責任論で限界まで働き続けます。

相談したり逃げたりする選択肢があることを知らない。

自分にレッテルを貼る

普通に縛られ、普通ルートから外れた人は、正当化するため自分にレッテルを貼ります。

たとえば、僕が発達障害と診断されたとき。

  • 発達障害だから仕事ができない
  • 発達障害だから人が苦手
  • 発達障害だから頭が悪い
  • 発達障害だから結婚できない
  • 発達障害だから幸せになれない

”発達障害だから~”というレッテルを自分に貼ることで、「自分は悪くない、可哀想で不幸な悲劇の人だ」と正当化していました。

ですが、そのレッテルがあると身動きが取れなくなります。

現状を肯定してしまうため、本当にレッテル通りの人生になってしまうのです。

ありのままの自分を、ありのままでいられない環境で受け入れてしまう。

発達障害を無視してはいけない

顔を隠す子供
疲れたサラリーマン
疲れたサラリーマン
じゃあ低収入・生涯独身でも幸せを感じろってこと?

著者は、病気についてこのように述べています。

病気や苦しみとは、天からのギフトのようなもので、その中にとても大切なメッセージが入っている。だが、それは《不幸印》のラッピングペーパーに包まれているので、たいていは嫌がって受け取られない。しかし、それは受け取らない限り何度でも再配達されてきてしまう。思い切って受け取ってその忌々しい包みをほどいてみると、そこには、自分が自分らしく生きていくための大切なメッセージが見つかる。

発達障害におきかえれば、「障害特性による生きづらさは、逆によりよい人生を送るための指針になるといったところでしょうか。

いかにも宗教的で、「キラキラ発達障害かよ…」と言いたくなるのはわかります。

ですが僕は会社員を辞めてフリーランスになった今、の言葉はただの自己啓発ではないと思うんです。

発達障害を無視しないために
  1. やりたくないことはやらない
  2. 障害特性に従う
  3. 欲望を叶える

それでは、一つずつ見ていきましょう!

やりたくないことはやらない

理想論に聞こえると思いますが、収入や世間的な地位が下がっても、やりたくないことは辞めるべきです。

自分が向いていないと直感するものは、生活から徹底的に排除していく。

そうすると、最終的には”自分らしさ”だけが残ります。

この考え方は、ある彫刻家のエピソードになぞらえるとわかりやすいです。

神の像を掘ったとき、人々は「どうやってその神の姿をイメージしたのか」と問いました。

すると彫刻家は、「神らしくない要素を消していったら、この姿になった」と答えたのです。

自分のやりたい事、自分らしさが分からないのなら、確実にやりたくない事を削っていけばいいのです。

「できない事は徹底的にできない」発達障害だからこそ、割り切ってこの考え方を実行できるのではないでしょうか。

嫌なことを真面目に取り組む必要はない。

障害特性に従う

僕は発達障害で本当に絶望し、先の見通しが立っていないのにフリーランスとして独立しました。

記事をひたすらシングルタスクで書いていくところや、コミュニケーションがチャットで済むところが気に入っています。

ただどうしても貯金が減っていくので、節約をはじめとしたお金の勉強もするようになりました。

物や生活習慣は徹底的にシンプルにし、毎日が同じことの繰り返しですが、ASD傾向のある僕には心地いい。

発達障害に逆らないようにしたら、自分が本当に求めていた生き方がわかりました。

人と関わらず、自分のルーティンに従って、幸福もなければ不幸もない毎日。

他人に嫉妬し親や社会を恨んでいた日々が一変、心が穏やかになり、自分本位に生きるのが怖くなくなったのです。

悪いのは本人ではなく、本人に不都合な環境。

欲望を叶える

著者は本編を通して、「心を頭で支配すると破綻する」と述べています。

心が直感で思ったことはだいたい正しいし、直感は使わなければさびていく。

あるがままの自分を承認し、自分の欲望に忠実になること。

そのためには、自分を否定する人や環境から逃げることです。

表面的な対処療法ではなく、しっかりと心の声を聞いてあげましょう。

発達障害だからこそ、自分勝手に生きてみよう。

【「普通がいい」という病 】発達障害に苦しむ理由 まとめ

GOボタンを押す男

この記事では、「『普通がいい』という病」をもとに、発達障害に苦しむ理由についてまとめました。

最後にもう一度、ポイントをおさらいしましょう!

ポイントのおさらい
  1. 頭で心を支配してはいけない
  2. 弱音を吐いて逃げていい
  3. 欲望に忠実でいい

普通に取りつかれると、逃げ道をどんどん断ち切ってしまいます。

そうして、自分が本当に生きるべき道までも失ってしまうのです。

「『普通がいい』という病」では、精神科医である著者のカウンセリング事例や文献の引用が多く、今までにない考え方を示してくれます。

”普通病”を治したいという人は、ぜひ読んでみてください。


COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)