人間には”視覚優位”と”聴覚優位”があります。
定型(健常者)なら、単に「どちらの方が理解しやすいか」という些細な分類に過ぎません。
しかし発達障害の場合、分類という域を越えて、死活問題にすらなります。
僕は視覚優位ですが、会話や電話対応といった、口頭でのコミュニケーションがとても苦手です。
挙句に耐えられなくなり、会社を辞めてフリーランスになりました。
あなたはこんな悩みを抱えていませんか?
- 極端に聴覚からの情報に弱い
- 口頭のやり取りから逃げられない
- 視覚優位でも人並みに働きたい
こんな悩みを解決します!
この記事では、「視覚優位の発達障害」について解説。
最後まで読むことで、視覚優位でも職場で立ち回れるようになる方法がわかりますよ!
筆者の発達障害プロフィール
- 手帳3級のADHD
- ASD・APD・HSP傾向あり
- 社会人で発達障害が発覚
- 定型(健常者)にギリ擬態できる
- 一人暮らしは可能レベル
僕は前職、広告代理店で営業をしていました。
社内外での交渉や調整が多かったので、圧倒的なミスマッチでしたね。
しかも会社が古い体質だったので、コミュニケーションは面と向かって会話が基本。
チャットやメールに逃げられないのも地獄でした。
今回は、こうした筆者の体験談も交えながら解説していきます!
目次
視覚優位の発達障害【特徴】


視覚優位の発達障害の特徴は、次の3つです。
- 会話や電話が苦手
- 映像でイメージする
- 視覚情報に特別強くはない
それでは、一つずつ見ていきましょう!
会話や電話が苦手
視覚優位の発達障害は、会話や電話が苦手です。
- 意味を頭で組み立てられない
- 理解するまで時間がかかる
- 内容を覚えていられない
- 聞きながら内容を整理できない
- そもそも話を聞き取れない
会社では基本的に口頭で指示を出され、お客さんとも電話でやり取りすることが多いですよね。
聴覚からの情報に弱いというのは、会社員として致命傷です。
人によっては、PAD(聴覚情報処理障害)で「人の話し声だけ聞き取れない」場合もあります。
聞き取り・内容の理解に必死で、その先の状況判断にまで気が回らないのです。
関連記事:【対策あり】APD(聴覚情報処理障害)は仕事ができない
聞いたことを理解するのに労力がかかりすぎてしまう。
映像で理解・記憶する
視覚優位の発達障害は、よく「お前の話には主語がない」と言われます。
これは、映像で理解・記憶する習慣がついているためです。
- 脳内で映像をイメージ
- その映像をもとに情報を伝える
- 相手にも同じ映像が共有されている前提で話してしまう
- (自分にとっては不要な)主語が抜けるので、相手に理解されない
また、記憶や理解も映像(視覚情報)で行うので、「図がないと理解できない」「言われただけでは覚えられない」となります。
自分が「映像で理解・記憶している」という自覚がない。
視覚情報に特別強くはない
視覚優位には2パターンあります。
- 視覚情報の処理に優れている
- 聴覚情報に弱く、相対的に視覚優位なだけ
発達障害の多くは②です。
テレビや企業サイトに出てくるような発達障害は①ですね。
「自分の得意を仕事に!」という発達障害神話を体現している典型例。
しかし、多くの無能な発達障害者は②です。
伸ばす得意もなく、弱点の克服も非常に困難。
多少の改善はできても、根本は地獄です。
相対的に強いだけで、視覚情報の処理に特化しているわけではない。
視覚優位の発達障害【困る事】


視覚優位の発達障害が困る事は、次の3つです。
- 口頭での指示が理解できない
- 電話対応ができない
- 営業になったら終わり
どれも会社員にとって致命傷なものばかりですね。
一つずつ見ていきましょう。
口頭での指示が理解できない
視覚優位の発達障害は、口頭での指示が理解できません。
メモを取りながら聞こうにも、言われたこと自体を理解していないので、ただ紙に文字を書くだけになります。
チャットやメールで伝えてくれたら問題ありませんが、そんな配慮は期待できません。
定型は「文章よりの口頭の方が早くて優れている」と思っています。
確かに、より多くの情報を早くやり取りできるのは会話です。
こちらが定型に合わせていくしかないのです。
会社では会話がベースなので、常に苦しむことに。
電話対応ができない
視覚優位の天敵は、電話対応です。
視覚情報の一切が遮断されているので、当然ですね。
取り次ぎも含めて聴覚でのコミュニケーションになるので、これほどの地獄はありません。
ですが立場上、逃げることが許されない人もいますよね。
僕は若手の営業でしたが、下っ端は率先して電話にでなければならない。
こうしてストレスにさらされ続けるのは、とてもつらいです。
電話は、視覚情報でカバーすることができない最悪のツール。
営業になったら終わり
言うまでもありませんが、視覚優位の発達障害は、絶対に営業になってはいけません。
- 商談
- 飛び込み営業
- テレアポ
- 社内調整
- 電話対応
- クレーム対応
- 接待
視覚優位ができない事のオンパレードです。
社会人になって発達障害が発覚し、「自分が営業は向いていない」と気付いた時にはもう手遅れ。
配置転換もそう簡単にできませんし、視覚優位は免罪符にはなりません。
周りからすれば「当たり前のことができていない」に過ぎないので、救いの手が差し伸べられることはないのです。
営業は、視覚優位にムリなこと詰め合わせパック。
視覚優位の発達障害【仕事術】


視覚優位の発達障害の仕事術は、次の3つです。
- 一度視覚化する
- わかるまで確認する
- 目に入る情報を整理する
聴覚情報の弱さを克服することはできません。
そもそも発達障害は脳の機能障害なので、努力したところで無意味。
視覚優位の欠点をできるだけカバーする仕事術になりますが、あくまで対処療法です。
一度視覚化する
耳から入ってきた情報は、一度視覚化しましょう。
- とりあえず頑張ってメモ
- テキストや図解で自分なりに情報整理
- わからない・あいまいな点が出てくる
- 上司に再度質問しに行く
頭に入っているだけの情報や、とりあえず書いただけのメモはあてになりません。
時間を作って、きちんと理解できているかを”視覚で”確認しましょう。
そうすると、かなりの確率で疑問点が見つかります。
それを放置せずに、臆さず上司にもう一度確認しに行きます。
「その場で質問しろよ!」と怒られるかもしれませんが、後でミスするほうが大問題ですよね。
発達障害なら、嫌われる前提で働くべきである。
わかるまで確認する
電話対応など、いちいちゆっくり時間を取って確認していられない状況もあります。
その場合は、口頭でもわかるまで粘り続けましょう。
あいまいな理解ではなく、きちんと腑に落ちるまで質問し続けるんです。
相手にストレスを与えますが、聴覚の理解力が乏しいので仕方ありません。
それに案外、1,2回ほど踏み込んで質問していけば、ぐっと理解できるようになるものです。
1回で理解しようとするのは甘え。
目に入る情報を整理する
視覚優位の場合、視界に入る情報を自然に取捨選択できません。
机が散らかっている、複数タブ開きっぱなしなどは避けましょう。
細かい事かもしれませんが、こうした無自覚なストレスに、発達障害は弱いです。
気が散って作業効率は落ち、時間が足りなくてさらに焦るという悪循環にもなります。
整理停頓は死活問題だと覚えておきましょう。
視覚情報の断捨離をしよう。
視覚優位の発達障害 まとめ

この記事では、「視覚優位の発達障害」について解説。
最後に、もう一度ポイントをおさらいしましょう。
- 聴覚処理能力は絶望的
- 映像で理解・記憶する
- 視覚系の特殊能力はない
- 嫌われながら働け
視覚優位は克服できないし、それが強みになるわけでもない。
大きなミスがないよう細心の注意を払いながら、定型の何倍も悪い効率でコツコツ働くほかありません。
でも本当は、自分に見切りをつけてさっさと転職したほうがいいです。
- 在宅フリーランス
- 完全在宅勤務
- 会話の文化がないIT系
- 障害者雇用
いきなりフリーランスや別業界に行くのは、あまり現実的ではないですよね。
下の記事に障害者雇用の就職・転職サービスについてまとめているので、こちらもぜひご覧ください。