発達障害は会社でなにかと怒られがちですが、よく言われることのひとつが「仕事が遅い」です。
与えられている業務量は少ないし、定時前にじゅうぶん終わらせられる余裕がある。
それなのに、どんなに集中して取り組んだつもりでも、予定よりぜんぜん仕事が進まずにサービス残業の日々。
僕はどんなに一生懸命やっても、一向に仕事が早くなりませんでした。
入社3年目までこの調子だったので、慣れていないとかいう次元ではありません。
発達障害の仕事が遅いのには、ある理由があったのです。
あなたはこんな悩みをもっていませんか?
- 仕事をするのにいちいち時間がかかる
- いつも余裕がなくてつらい
- 定時で帰れないから疲れる
そんな悩みを解決します。
この記事では、「発達障害の仕事が遅い理由」について解説します。
発達障害の仕事が遅い理由がわかれば、効率よく業務を進められるようになります!
広告代理店の営業として3年間働いていた僕が、実体験も交えながら解説していきますよ!
目次
発達障害の仕事が遅い理由① 衝動的にとりかかる

発達障害のなかでもADHDの人は、衝動的にとりかかるため仕事が遅くなる傾向があります。
無計画に仕事をすすめてしまうため、修正ややり直しが発生し、かえって遅くなってしまうのです。
指示されてすぐに取りかかるのは大事ですが、ポイントをおさえておかないと、あとで大変なことになりますよ!
衝動的にとりかかる前にプランをたてよう!
発達障害が陥りがちなケース
仕事が遅い発達障害の人は、最初のステップを外すことで無駄な作業をしがちです。
- 仕事を受けたけど目的はよくわかっていない
- とりあえずなんとなくで進める
- わからなくてつまづくも、勘で進める
- 期限ギリギリに提出するも、間違いだらけ
- やり直しで倍の時間がかかる
このように、自分の中だけで完結させて仕事を進めてしまうので、最終的には大幅やり直しという最悪の事態になってしまうのです。
一体どこから間違っていたかというと、最初からですね。笑
最初の方向性をミスると、最後にはやり直しに!
仕事をするときに考えること
仕事をするときには、まずこの3つをしっかりと考えましょう。
- この仕事の目的
- 目的達成の課題
- 目的達成の手段
すべての仕事では、目的を明確にする必要があります。
上司から「資料まとめといて」と言われたときに、”何のためにまとめるのか”がわかっていなかったら、トンチンカンな資料になってしまいますよね。
逆にこの目的が明確になっていれば、
- 具体的に何が足りていないのか
- そのためにどのような行動をすればいいのか
が自然とわかるようになります。
”目的”が明確になればやるべきことがわかる!
発達障害の仕事が遅い理由② コミュニケーション不足

発達障害の人はコミュニケーションが苦手な傾向があります。
そのため、大切な場面でのコミュニケーションを避け、結果的に自分の首をしめてしまうのです。
- わからないことを聞くと怒られそうだから黙っている
- 上司が忙しそうだから自分でやってみる
- メールやチャットじゃないと怖いから聞かない
- 頼みごとが苦手なので自分でやる
- 時間をとって質問するのが申し訳ないと思う。
これは僕が実際に考えていたことです。笑
”普通の人”からしたら理解不能な思考回路でしょうけど、発達障害だとこんな感じの人も多いと思います。
こうして余計な回り道をすることで、仕事がおそくなってしまうんですね。
コミュニケーション不足はタイムロス!
発達障害がコミュニケーションを苦手とする理由
発達障害の人がコミュニケーションを苦手とする理由は、以下の通りです。
- 日頃から怒られすぎているのがトラウマに
- タイミングをはかるのが苦手
- 要領よく話すことができない
- 自分で考えることと質問することの区別がつかない
発達障害だと人一倍も怒られやすいのに、どうじに人一倍繊細なので、人間関係に苦手意識やトラウマをもってしまいがちです。
それに加えて、質問するタイミングを見極めたり、内容をまとめたりする能力が低いので、報連相するたびにストレスがたまってしまいます。
結果、「人に聞くのはやめて自分でやってみよう」という楽な方向に逃げてしまい、最後には怒られてしまうのです。
報連相がストレスになっているのが原因
発達障害がコミュニケーションをとる方法
発達障害の人がコミュニケーションをとるためには、次の対策をしましょう。
- ”相談はいいこと”という認識を持つ
- 怒られたことはマニュアル化する
- 先延ばしにするくらいなら定時報告
- 話すことを事前に整理
最悪のケーズは、”報連相しなかったことで同僚に迷惑をかける”ですよね。
そのリスクを回避するために、あなたはストレスを抱えながらコミュニケ―ションをとる必要があります。
ただそのストレスも、「怒られたことマニュアル」「話す前の要点整理」で怒られる回数を減らせば軽減することができます。
上司と相談して「定時報告」するようにしたら、先延ばし癖も関係なくなります。
実際に僕も、「怒られたことマニュアル」を作ったところ、怒られそうなポイントがだんだんとわかるようになりました。
「ここがあいまいだと怒られそうだけど、どうやって調べたらいいんだろう」というポイントを相談するようにしたら、うまくいくようになったのです。
また、上司と相談して、毎日の朝礼後・終業前に定時報告の時間をつくってもらうようにしました。
自分のもつ案件の進捗と、今後のスケジュールについて共有するのです。
半強制的に報連相しなければならないので、先延ばしにしてスケジュールを乱さないようになります。
やり方を間違えたり、非効率なまま進めていたりしたときも、早い段階でアドバイスをもらえるようになりました。
コミュニケーションは、メンタルではなくシステム!
発達障害の仕事が遅い理由③ 完璧主義で進まない

発達障害は完璧主義の人が多く、”0か100か”で考えてしまいます。
- 5分遅刻することがわかったら、もう行かない
- 1日でもスケジュールが狂うとやる気をなくす
- 仕事にとりかかる前は細かいプランをきめる
- 毎日おなじ仕事サイクルじゃないと気持ち悪い
これも僕がじっさいに考えていたことです。
大学の講義なんかは、10分寝坊したらもう行きませんでした笑
こうした完璧主義の人は、事前のシュミレーションに時間をかけるため動き出しがおそく、臨機応変な対応もできません。
自分の都合で仕事を進めてしまうので、周りが見えなくなるのも問題です。
完璧主義はスピード感&柔軟性に欠ける
発達障害に大切な”とりあえず”の精神
コミュニケーションに抵抗がある発達障害の人に大切なのは、”とりあえずやってみよう”の精神です。
- 「いまよろしいですか?」と声をかける
- 不安なところを質問する
- 頼みごとをする
発達障害の人にとってはてハードルが高いですが、いざやってみると「案外すんなり解決した」とホッとするケースも多いです。
事前の対策も大切ですが、明らかに聞いたほうが早い場合は、勇気をもってすぐに話をしましょう!
”とりあえず”やってみたら案外なんとかなる!
事前に考えるのは”仕事の目的”だけ
「発達障害の仕事が遅い理由①」では、「仕事の目的を考える」ことで、その後の行動を明確にするという話をしました。
目的さえ決まれば、「この件は○○さんに相談しよう」「この資料どこにしまってあったっけ?○○さんに聞いてみよう」など、頼るべき人も明らかになります。
こうなったら話は早い。自分でなんとかしようとする前に、まずは相談してみましょう。
「でも自分で調べもしないうちから人に聞くのは気が引ける…」
こう思うかもしれませんが、あなたは”自分の最速”だけ追求していればいいのです。
もちろん、相手の都合おかまいなしに行動するのはよくありません。
ただ、自分で考えたら1時間かかるものを、同僚に聞いて10分で終わらせたほうが、会社としても効率があがるので全体の利益になります。
目の前の人間関係だけではなく、ときには大局的な視点で考えてみましょう!
自分と会社(クライアント)が得をする方法を優先しよう!
発達障害の仕事が遅い理由④ マルチタスクでパニックになる

発達障害の人は、マルチタスクが苦手な傾向にあります。その理由は以下のとおりです。
- 優先順位がつけられない
- 複数のことに集中できない
- タスクが複雑になって忘れてしまう
僕も例外ではなく、マルチタスクがめちゃくちゃ苦手です。笑
まず何から手を付けていいのかわからなくてフリーズし、やっと調子が出てきたと思ったら他の案件の対応に追われる。
再び取りかかるときには、「あれ、これどこまでやったんだっけ…?」と回想タイムに入るので大幅なタイムロスになります。
本当はひとつづつ仕事を片付けていきたいですが、業務の都合でそれは無理。
仕事に取りかかる前の「優先順位づけ」の段階からストレスでした。
マルチタスクは苦手でも避けられない
仕事は”一つひとつ”やっていく
マルチタスクは訓練してもうまくできるようにはなりません。
それならば、いっそのこと「優先順位づけ」を放棄しましょう。
- 絶対に今日やるべきタスクをひとつ選ぶ
- そのタスクだけにフルコミットする
- 終わったら次のタスクをひとつ選ぶ
- 以降繰り返し
「やるべきタスクはいくつもある」という事実は変わりません。
その中から「絶対に今日やるべきもの」をひとつだけ選び、まずそのタスクだけに注力します。
他の雑用や対応を一時的にこなすことがあっても、選んだタスクだけは絶対にやりとげる。
こうして無理やりシングルタスクの状況を作り上げるのです。
発達障害の場合、他のことが気になりだすと集中できなくなります。
それに、横から新たなタスクを持ちこまれると、そのたびに優先順位のビルドアップが始まって効率が悪くなります。
「いまこの瞬間やるのはこれだけ!」と決めてしまうことで、雑念を排除することができ、本当に優先するべきタスクにフォーカスすることができます。
シングルタスクに近い状況を意識的につくろう!
自分で対処できないなら上司に頼る
どうしても自分の能力では複数のタスクを処理できないのならば、上司に優先順位を決めてもらいましょう。
僕も最終的にはこの方法で日々の仕事を何とかこなしていました。
毎日朝礼後に定時報告の時間があったので、その時にいまやっている案件とタスクを共有します。
その中から、今日一日のスケジュールを上司に決めてもらうのです。
この時、ただ決めてもらったことに従うのではなく、「どうしてこの判断をしたのか」という思考プロセスも学ぶようにしましょう。
ちなみに僕は入社3年目にもなって毎朝こんなことをやっていたので、とても恥ずかしくて地獄でした。
最終的には上司に頼るのもアリ!
発達障害の仕事が遅い理由⑤ 雑用を受けすぎてしまう

発達障害の仕事が遅いのは、能力が低いという理由ではなく、単純に作業量が膨大になっているケースもあります。
あなたは、下記の内容に当てはまっていませんか?
- 頼まれたときに断る勇気がない
- 自分がやらなきゃという義務感がある
- 劣等感があるので受け入れてしまう
発達障害の人は、コミュニケーションに対して恐怖心がつきまとうケースがあり、「嫌われたくないな…」と思って仕事を引き受けてしまいます。
また、仕事ができないため劣等感が強く、「せめて雑用くらい引き受けないと…」と頼まれごとをすべて受け入れてしまいがち。
そのため、仕事量がどんどん増えてしまうのです。
発達障害の性格は仕事量を増やす
従順キャラから脱却しよう
頼まれた仕事をこころよく引き受けてしまうと、「頼みづらい仕事はこの人に任せよう」と今後も便利キャラのように思われてしまいます。
僕もよく雑用を頼まれるキャラでした。
劣等感が強くてつい引き受けがちだったのに加えて、「下っ端で」「男で」「営業」だったので、相手も頼みやすかったのでしょう。
僕の同期の女の子には一切雑用を振らないので、その分が僕にのしかかっていました。
雑用キャラになると、無条件にこき使われるようになるので損です。
最初は「3回に1回は無条件で断る」というようなマイルールーをつくり、徐々に従順キャラから脱却していきましょう。
自分の意志をはっきりと示そう!
エクセルでタスクを管理する
軽々と仕事を引き受けてしまうのは、「自分の仕事量とスケジュールを把握していない」ことも原因です。
もしスケジュール的に厳しいということがわかっていたなら、気後れすることなく断ることができるはずです。
発達障害の人は、”何となく”でスケジュールを把握することができません。
発達障害にとって、「視界に入らないもの」は「存在しないもの」と同じ。
きちんと今の仕事量を目に見える形にしておかなければ、正確な現象把握はできないのです。
「頼みごとを断る根拠」をつくりだそう!
発達障害の仕事が遅い理由 まとめ

この記事では、発達障害の仕事が遅い理由について解説してきました。
もう一度、ポイントをおさらいします。
- 衝動的にとりかかる
- コミュニケーション不足
- 完璧主義で進まない
- マルチタスクでパニックに
- 雑用を受けすぎてしまう
仕事の目的さえつかんだら、あとは他人を頼りながら突っ走る!
コミュニケーションは避けて通れないので、事前に要点をまとめたり、角が立たない頼み方を実践したりして、できるだけ負担を減らすようにしましょう。
できるだけ自分のペースで集中したほうがいいので、雑用はできるだけ引き受けないよう立ち回れたらベストです!
会社で働くなかで負担になっているポイントを見つけて対策すれば、仕事の効率が上がるだけでなく、あなたのメンタル消費もおさえられます。
僕は周りの人に振り回されすぎて、毎日余計なことで消耗していました。
でもそうした苦労はいっさい評価も感謝もされないので、ハッキリ言って時間の無駄です。
「自分が働きやすい環境をつくる」ために、できることから変えていきましょう!
